「最後にはすっかり気持ちが晴れやかになる感動作です」BRAVE HEARTS 海猿 緑のカエルさんの映画レビュー(感想・評価)
最後にはすっかり気持ちが晴れやかになる感動作です
中盤くらいまでは、評価的には2.5くらい。
救助隊の選りすぐりということは、精神的にも鍛錬されているのではと
勝手な想像をするものの、やたらと安っぽいヒューマニズムに感じられる
言動が・・・
ところが途中から「映画の演出上やはりこういうセリフ入れないと説明できないから・・」みたいなクサさを打ち消し、観る手にすっきりしたモヤモヤ感を忘れさせてくれる内容へと変わっていきます。
ズハリ、仙崎と嶋の二人の描かれ方かなぁ。ラストの「ここもな」って
くだりのシーン。本来ならクサーいはずなのに、グっとくるワンシーンでした。
おそらく、この映画の中心となるジャンボジェットの救助活動の一連の流れがあるからこそなんでしょう。
それと最後に「キセキの救出」がありますが、ここも同じくアリがちなドラマだと安っぽく涙を頂戴するために誰かを殺したりするものですが、
最後の最後まで人命の大切さと、それを何が何でも助けるんだ、可能性があれば誰ひとり見捨てずに。というところに繋がっているんでしょうね。
最初の仙崎のこういうセリフはハッキリいって自分的には偽善っぽく聞こえて苦手なんですが、ラストのあたりではすごくスッキリと納得できました。
たぶん、心理的変化としては「嶋」と近かったのかな(笑)
後半の嶋と仙崎の心底理解しきった男の友情は実に爽快でした。
ありがちな日常の殺伐とした世知辛さに新しい命を迎えることにためらいを
もっていた環菜が、この物語をTVニュースを通して観て行く中で、日本人捨てたものではないという仙崎の「根拠がない不確かだけど自身のある」言葉を信じられるようになり、最後に夢と希望をもった幸せな家族愛という形でこの映画をしめくくったところが実に爽快でした。
震災や就職難、リストラなど夢や希望が見出せなくなってしまった現在に対して、なにか少しでもエールを送ってみたいという気持ちが製作者側から伝わってきそうでした。
中盤くらいまでのことはなんだかんだ言いましたけど!
安易に評価できないような奥の深いメッセージのように思いますし、
首脳幹部陣あたりの描き方もピュアだったので、この評価にさせていただきます。