テイク・シェルターのレビュー・感想・評価
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ストーリーからは想像もつかないほどの映像美
サイコスリラーということで違う観点で観始めたが、のっけのワンカットからの映像の美しさに、あれあれっと期待値いきなりマックスへ。
大空や緑の大地の壮大な風景は当然のこと、図書館やスーパーマーケットの陳列等々生活感ある日常的風景も色鮮やかにきれいに撮れていたと思う。
そして映像美に引けを取らない役者陣の鬼気迫る演技も相当なみどころだ。
B級作品覚悟で観ただけに、ラストの捉え方いかんはもう問う必要を感じず、じゅうぶん満足できる作品だった。
災害系パニックムービーじゃない…だと?!
①主人公のカーティスは受動的な人間である
②不況によって短納期を求められ、カーティスはストレスを抱えている
③カーティスの母は統合失調症を患っている
④統合失調症は遺伝のリスクがある
カーティスは度重なる悪夢からやがて未曾有の大災害になるであろう嵐の到来を確信する。
しかし、前述の要素から
・カーティスは、本当に正常なのか?
・これも悪夢なのでは?
・これは統合失調症の幻覚なのでは?
・次のシーンには汗をびっしょりかいてカーティスが目を覚ますかもしれない
と真実がその場では分からずに「どっちだ?」という目で彼を見続けることになる。
しかし、家族を守るという決意と使命感に駆られて、孤独に泥臭く、必死になっていくカーティスの姿が「冷静になって欲しい」と願うと同時に、「誰か彼のこの気持ちに寄り添ってあげて欲しい」という気持ちにさせる。
妻のサマンサは賢く、現実的な人物で、カーティスの言動に戸惑いながらも覚悟を決めるシーンにはとてつもない頼もしさと気高さを感じられる。
一方で娘のナットは夫婦の判断基準、動機になる役割であって、家族の問題において常に蚊帳の外に置かれ続ける感じがある。
彼女の手術ができなくなりそうとなったときに映し出されるのはサマンサ(母)の絶望であって、彼女ではなかったりと基本的に影が薄い。
故にどこかに消えてしまいそうな不安感があるのだけど。
最後のシーンは個人的には現実だと思っている。
ナットが統合失調症で~となると、この先満足に行動できるのがサマンサ1人になるし、それでは折角繋ぎ止めて固くなった家族の絆の意味が乏しい。
カーティス1人では雑にしか作り上げられなかったシェルターは彼女のフォローがあって初めてちゃんと機能する方舟なのだと私は思った。
気を持たすだけ持たせといて、肩すかし。 最後に辻褄を合わせるために...
気を持たすだけ持たせといて、肩すかし。
最後に辻褄を合わせるためにどんでん返し。
未来を予知しても、運命は変えられないという
予知ストーリーのあるある。
ただし、突然見るようになった悪夢に 次第に追い込まれていく
主人公の描写には迫力があった。
非情なラストシーンでは 運命に絶望する一方で、どことなく
主人公が理解してもらえた安堵感も滲ませる複雑な表情を
見せていたことが 妙に納得させられて、印象的だった。
まー、退屈な映画
サイコスリラーで、
夢か現実か…
って話ですが、
淡々と淡々と少しずつ少しずつしか話が進みません。
まー、退屈な映画です。
そんな退屈の中、開始1時間35分ごろ、
必死に狂言を垂れる主人公カーティスの顔とヤツのポージング、一生懸命さに、かなりウケてしまい、
今でも思い出しては笑います(笑)
その笑いと、ジェシカ・チャステインの美貌に、0.5点ほど加点(笑)
総合評価は3点です(笑)
観なくても、よろしいかと…(笑)
30分ぐらいバッサリ切ってテンポよくした方が面白いよ。
PS.僕がウケたのは食堂のシーンです(笑)
サブプライム不況と精神破壊
薬代とかビーチの宿泊料が高すぎ!けっこう金額にまつわるエピソードがありまして、精神科にかかる費用やら、娘ハンナの内耳治療費とか、もう面倒見きれませんってくらい高いです。そんな中でもシェルターを作り続けるカーティス。会社の重機を無断借用したりして、結局はクビになってしまう。ここまで来たら、もう嵐が来ることを祈るしかない!
カーティスの母親も30代で精神疾患に罹り、それ以降ずっと施設で暮らしているといった状態。悪夢を見始めてからというもの、飼い犬に咬まれたり、事故を起こしたり、不審者が現れたりと悪夢の連続。ついにはオネショまでしてしまう。雷なんて晴れてる日でも見えるし、聴こえちゃう・・・妄想的統合失調症?と医師は言うけど、妄想よりも悪夢の方が怖い。
ノアの箱舟ですか!ってくらい、取り憑かれたようにシェルターを作る。金なんて持ってたって仕方がない。犬は兄貴にあげちゃうし、あとは1週間分の食料があればいい・・・予言者のような狂気をも見せるカーティス。娘の手術費用だって、命があればこそなんだし、後回し・・・いいのか?
2009年にはエメリッヒの『2012』なんてのも公開されたし、世紀末やら不況が続くと、こうした妄言的ディザスター・ムービーも増えるような気がする。何かと不安を感じる人々の心の表れか、結局はこうして精神もやられてしまうのか。科学的根拠のないようなディザスターにはうんざりするものですが、この作品のメインは精神的なもの。さすがにラストのシーンには皮肉めいたものが感じられたが・・・どうなっちゃうんでしょ?
人間を描きたいのか、そうではないのか、
個人評価:2.7
シェルターを心の闇と壁と見立てた、暗喩として描いているのか。それとも現実に起こり得る未曾有の大災害に対して、我々への啓示として描いているのか。
いずれにしても、全く掘り下げれておらず、弱々しい脚本。
素晴らしい女優ジェシカ・チャステインも、まったく特性を活かしきれていないキャラクター設定。
残念な作品と感じる。
見るのがしんどかった
「精神」が題材とは思わず、見るのがしんどかった。もっと直接的な自然現象が起こるのかと思ってた。
たしかにスリリングだし、胸に迫る恐怖があるのは確かだが、おもしろくは見れなかった。精神疾患をエンタメ的に楽しむには、内容的に違和感のある設定。
要するに面白くはない、ってこと。ラストも中途半端に混ぜ返し、結局なに?全編で積み上げたストーリーはなんだったの、という。
というわけで、評価しなかった派です。完成度はありますが。
息苦しい、目が離せない
異常気候に怯えシェルター作りに取り憑かれてしまう男、翻弄される家族。
異常気象に希望の持てない社会状況。見通せない日々の閉塞感は到底人ごとでは無いですが、それにしてもこの重苦しさ。
弱い者から崩れ落ちていくしかない、そんな世界にでしかあり得ないのか。息苦しく思いながらも目が離せませんでした。
追いつめられていく夫婦を演じたマイケル・シャノンとジェシカ・チャステインに見入ってしまいました。
カーティスを襲う悪夢。この手の悪夢は確かに怖くて、つらいです。
曇天のように心を覆う、ぼんやりとした不安。
鑑賞前の方々にひとつ注意。
「『アバター』『スカイライン』の製作陣が放つ……」などと宣伝されている本作だが、
くれぐれも派手なCGや大掛かりな展開は期待しないでくださいな。
CGを担当したのは確かに上記作品等を手掛けたhydraulx社、
製作者も『スカイライン』を監督したストラウス兄弟だが、
CGはストーリーを語る上での最低限の使用に抑えられている。
派手な画に頼らず、淡々と、丁寧に緊張感を煽ってゆくタイプのスリラーだ。
個人的には『AVP2』『スカイライン』を監督した
ストラウス兄弟への信頼は限り無くゼロに近いので、
「これは彼ら兄弟の監督作ではない」という点をまず強調しておきたい。
(↑面倒臭いこと言うヤツでスミマセン)
監督はジェフ・ニコルズという方。長編映画はまだ2作目だそうだが、
「2作目にしてこの完成度かよ!」って感じだ。
色んな映画祭で絶賛されたというのも頷ける。
映画のあらすじは——
「巨大な嵐と共に不吉な“何か”がやって来る」という悪夢に毎晩苛まれる主人公。
妻と幼い娘にその悪夢の事を言い出せないまま、
彼は私財を投げ売って避難用のシェルター作りに没頭する……。
予知夢か、ただの妄執か、自らの精神疾患を疑いながらも
シェルターを作り続ける主演マイケル・シャノンの演技が見事。
妄執でも現実でも本人からすれば恐怖である事に違いは無い訳で、
脂汗を浮かべた固い表情からはその恐怖と切迫した気持ちとがリアルに伝わってくる。
悪夢に苦しみながらも、善き家庭人であろうと努める姿にも同情を禁じ得ない。
夫の奇行に戸惑いつつ、苦しむ彼を必死に支えようとする
妻役ジェシカ・チャスティンも健気で美しい。
映画の終盤、シェルター内で彼女が夫に諭す言葉は、
思いやりと愛情に満ちていて心に迫る。
そして、映画全編を覆う、ぼんやりとした不安。
ぽつぽつ降り始めた雨粒の立てる波紋を連想させる音楽が不穏な空気を醸し出し、
網膜に焼き付くような白みの強い映像・動きを抑えたカメラが緊張感を煽る。
胸の奥底に薄い灰色の雲がかかり、徐々に徐々にその厚みを増してゆく……
鑑賞中、そんな息苦しさを覚えていた。
鑑賞後もそのぼんやり不安な気持ちは残る。
僕らの平穏な日常が、恐ろしく脆くて儚いものに変えられてしまった……そんな不安が。
終末SFとも心理スリラーとも名状し難い、複雑な余韻を残す秀作。
<2012/5/19鑑賞>
マイケル・シャノンはクリストファー・ウォーケンに似ている。
平凡なブルーワーカー、カーティスは悪夢にうなされる。
嵐がやってきて、エンジンオイルのような粘っこい雨が全身を濡らす。おとなしい飼い犬が、突然自分に噛みついてくる。得体のしれない何者かが、耳の聞こえない一人娘を拉致する。
次第に妄想と幻覚が酷くなってきた彼は、妻に無断で嵐から自分たちの身を守るシェルターを庭先に作り始める。友人からも見放されたカーティスはだったが、ある夜、本当の嵐がやって来て……。
強迫性障害により、幻覚、妄想の世界に落ちて行く男。マイケル・シャノンの、大袈裟でない、本当に神経を病むというのはこういうことなんだな、とわかるほどのリアルな演技がコワイ。余計な恐怖描写がなく物語自体は、淡々と進むけれど、映画全編をとおして、奥歯に出来た虫歯の鈍痛のような不快感に包まれる。しかしそんな中で光っているのは、ジェシカ・ジャステイン演じる、カーティスの妻サマンサ。月並みで通俗的な話なら、夫を見捨てるところなんだろうけれど、彼女は折れそうになる心を必死に支えながら、夫のことを思い続ける。
舞台はおそらくオハイオ州。大都市からはかなり離れている田舎町。この設定もまたいい。大都市とは違って、医療機関もなく、宗教や地縁血縁の結びつきが強い土地柄で、自分の出自からおこってしまった、心の異常を自分でなんとかしようと焦るカーティスの気持ちも良くわかり、サイコな人物設定にもかかわらず、感情移入し易い。
あと幼い一人娘が、耳が不自由、という設定も効いている。最後まで不安な表情を見せない上に、手話で両親と簡単にコミニュケーションを取ることのできる存在は、主人公カーティスとは表裏である。
終盤からラストにかけ、無気味な予兆を残して映画は終わるが、ここに現代人の誰もが、心の何処かに持っている不安を象徴しているように思えてならない。
それにしても、カーティスの役柄はひと昔前なら、クリストファー・ウォーケンが演ってたね。
3月27日 銀座テアトルシネマ
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