「季節外れの風鈴ほど、悲しい音はないもの」あなたへ shimoさんの映画レビュー(感想・評価)
季節外れの風鈴ほど、悲しい音はないもの
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映画「あなたへ」(降旗康男監督)から。
今回は、オーソドックスに気になる台詞を選んでみた。
作品冒頭、夫婦役の高倉健さんと田中裕子さんの会話。
「いい音だ」と、風鈴の音に感激する夫。
「でも、秋になったら忘れずにはずさなきゃね。
季節外れの風鈴ほど、悲しい音はないもの」と妻。
この会話が核となって、物語は展開する。
「いつもでも自分のことを思い出してくれるのは嬉しい、
だけど、時が来たら、私のことを忘れて、
あなたの人生を歩んでください」
そんなメッセージを伝え、妻は病気で死んでいった気がする。
ラストシーン間近に、夫が悟るシーンを発見して頷いた。
「女房にとって、自分はなんだったんだろうって、
そればっかり考えながらここまできました」と悩み続けたあと、
「あなたにはあなたの時間が流れてる、そう言いたかったんだと」
だから、墓に埋めずに「故郷の海へ散骨」という方法を、
「あなたへ」と書いた、夫宛てのはがきを残したに違いない。
全体には切ない物語だったが、夫婦とは?・・と考えさせられた、
静かだけど胸にしみた作品である。
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