「中東の複雑な事情が恐しくのしかかる」灼熱の魂 redirさんの映画レビュー(感想・評価)
中東の複雑な事情が恐しくのしかかる
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レバノン内戦の複雑さよ。
この辺りの事情をあまり知らないで見るとこの映画に対する印象や感情は異なるのでは?と思う。
非常に個人的でありながら非常に非個人的。
ありえない、非日常的な出来事の連鎖とも見えるが彼の地では非日常には思えない。
そして今カナダで生きる登場人物たち。これはオンゴーイングなことである。彼らの年齢父親母親の年齢。過去のことではなく今の、現代のことであることも。
タイトルは、原題は、火という意味のようだ。これも邦題が魅力的てはなく、鑑賞するのが遅れた。素晴らしい作品だ。
自分の生活、属性とはまるで違う視座で人生を考えること、そのような機会、演習するためにもみるべき。
灼熱の魂、まあそういうお方の一生をしるものだが、業火ということか。まず若い時の悲しい恋愛があり、宗教とか党派とかでないみんなのための平和を希求し新聞など文筆で戦おうとするもあまりに理不尽な内戦に、武装闘争しなければ理解されないし実現しないと、激烈な闘争をし激烈な獄中を闘い、それでも国外に逃れ子どもを育てた母。純粋数学などとむずかしそうな話が出てくるが最後は1+1という算数の衝撃。とにかく激烈な国であり激烈な事情があり激烈な生と死があり、地域社会と国際政治に挟み撃たれて平穏な人生なんて奇跡なんじゃないかとさえ思う。
個人的には、事情を飲み込めてないから仕方ないけど、入院中の、双子の命を救い親代わりに育てた人が、ヤラヤラ、おいで、と呼びかけたとき、双子には彼女と抱擁して欲しかった。そのくらい、物語、人の生きた歴史としては悲しく辛いし、強い母が最後に子どもたちに強さと愛をしっかり遺した。
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