「夫婦の境界線」夢売るふたり arakazuさんの映画レビュー(感想・評価)
夫婦の境界線
ターゲットを見つけシナリオを書くのは妻、妻のシナリオ通りに女たちの心の隙間につけ込み金を引き出すのは夫。最初は浮気した夫に対する腹いせ半分。しかし、妻はこの人には自分しかいない、という絶対的な自信があったはず。ところが、妻の不用意な発言から、夫婦の間の信頼が揺らぎだす…。
ストーリーも前提となる設定がまず巧みだし、相変わらず、この監督は仕草や目線といった言葉に頼らない感情表現が巧い。監督の要求に応える役者もいい。特に夫に騙される個性豊かな女たち(夫婦にとって“運命の女”となった鈴木砂羽も含めて)を演じた女優陣が素晴らしい。ただ、妻がマスターベーションするシーンやトイレで生理に気付くシーンは夫が別の女と寝ている状況で、夫婦生活がどうなってるかという遠回しな表現なんだろうが、これはもっと直接的でもよかったかも。
東京の下町の風景が柔らかく見える撮影はとても好みだった。
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