「ブラックな夫婦善哉」夢売るふたり チャイラテさんの映画レビュー(感想・評価)
ブラックな夫婦善哉
結婚詐欺という主題の裏で人の心の微妙な移ろい、変化を描いている良作。
松たか子演じる妻里子の葛藤がよいです。
この里子は本音をうまくぶつけられない性格。
常に良妻を演じていて当たり障りなくどんな人にも感じよく接していくことができるタイプ。
対する夫の貫也は不器用だけど自分の内面をさらけ出して人とつきあうタイプ。
これって人に気に入られないことも多いけど相手の心の深いところを掴むことができるってこと。
里子がこの夫の特性を利用しようと考えたのは最初は浮気の腹いせだったかもしれないけどだんだん手管が巧妙になっていって騙すことに慣れてしまっていく。
そして貫也も様々な女性に接するうちに、自分の力に自信を持ったことと妻の冷徹な面に軽蔑の念を持つようになったことで夫婦の力関係、バランスが逆転していく。
すごいと思うのはどんなふうに二人の関係が変化しても夫婦の絆は決して切れないってところ。
里子は自分の汚い部分を貫也に見せたくないって思ってたんだろな。
自分を抑えてる里子がかっとなって本性を見せる部分、松さんの迫力がすごくよかったです。
しかし全体的に地味にまとまりすぎてるのが残念。も少し緩急つけて盛り上げてもよかった気が。
表情やしぐさで表現してるとこ多くてわかりづらいのだけど個人的にはこういう考えさせたり想像させるつくりの作品は好きです。
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