夢売るふたりのレビュー・感想・評価
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人生という物語を引き受ける覚悟
読後感ならぬ観後感の悪さなら、西川作品の右に出るものはまずない。中でも、本作はピカイチ。「もやもや」どころか「どす黒い」。土と水のはずなのに、洗っても洗っても落ちない、まっ黒な泥を思わせる。穏やかな秋晴れの日に観たものの、帰り道はそんな現実が余りに遠く思えた。
とにかく、妻・里子を演じる松たか子が凄い。火攻め・水攻めだけでも凄いが、鮮やかな足さばきまで飛び出し、ゾクッとする。終盤に至っては、八百屋お七が登りつめて火で狂ったように、里子は水に狂い、泥にまみれて一瞬のうちに落下する。
夫婦を取り巻く人々が(物語への必要性はさておき)ぞくぞくと登場する中、鈴木沙羽は一番の「いい役どころ」かもしれない。酸いも甘いも噛み分けた大人として、夢売るふたりとこの物語に、あたたかな光を投げ掛ける。一方、田中麗奈が演じる女は、ありがちな位置づけで薄っぺらく、少々もったいない気がした。
そして、この映画の隠れた主役は、自転車だと思う。正確に言えば、自転車の二人乗り。それは、まっすぐで儚い「幸せ」の象徴だ。本当のところ、二人乗りは、さほど便利でも快適でもない。そもそも法律では禁じられており、堂々とはできないこと。(交番に近づくと、ぱっと飛び降りる里子がいじらしい。)それでも、身体を寄せあい、よたよたと進む自転車は、確かで満ち足りたぬくもりがある。不倫相手、若い夫婦、たまたま知り合った男女、親子…そして、自分の記憶の中の二人乗り。もう、私は二人乗りすることはないかもしれないな。ふと、そんなことまで思った。
個人的に惜しい気がするのは、時に饒舌過ぎるセリフが入るところだ。所作や視線、表情のみで語られるシーンが圧倒的に素晴らしいだけに、残念。特に複数のシーンに連なるモノローグは、画とのバランスを欠くように感じた。言葉に頼らずとも、映像だけで十分に語り尽くせたのではないだろうか。
また、観る者によって感じ方は極端に異なりそうだが、私には、監督の同性=女たちへの視線が、得てして(男たちへ以上に)やさしく、ともすると甘く映った。深追いしたら、もっとどす黒く、救いのない物語になったはず。そこが覚悟の足りなさ、という気がする。すっきりしない、とらえどころがない結末は、西川作品の持ち味のひとつだろう。とはいえ、作り手・語り手として、もう少し物語を引き受ける気概がほしい。作り手が、あるひとつの結末を提示したとしても、受け手が得る、他の可能性への創造力は奪われないはず。そんな豊かさを秘めた物語だと思う。
西川美和の世界観、松たか子×阿部サダヲの演技合戦に浸りきる
西川美和監督のオリジナル脚本による長編第4作は、松たか子と阿部サダヲが夫婦役で共演。
西川監督は一貫して「嘘」をテーマに掲げながら映画を撮っていた時代の1本(「すばらしき世界」で嘘をつけない不器用な男が主人公)。これはもう、松と阿部の演技合戦を心行くまで堪能して西川ワールドに浸りきる…というのが正解な作品。
騙される女たちも個性派が揃い、田中麗奈、鈴木砂羽、木村多江らが嬉々とした面持ちで西川組の世界観を生きている。香川照之、笑福亭鶴瓶まで出演しており、非常に贅沢な作品である。
ひょんなことから結婚詐欺に目覚めた夫婦。阿部サダヲが?と思ったりも...
ひょんなことから結婚詐欺に目覚めた夫婦。阿部サダヲが?と思ったりもしたが、現実の結婚詐欺もそんなもんのようだ(笑)
騙し、騙され、それぞれの人間模様の描き方が素晴らしい。不自然さは感じられない。
さてどうなるのだろうで終了。西川監督作品ではいつも通り、考察花盛り(笑)
阿倍サダオと松たか子
西川美和監督の作品と阿倍サダオと松たか子の演技に魅了される作品でした。
居酒屋を経営していた夫婦が火事で全てを失ってしまう。それによって全てが無くなってしまった絶望に陥るが。
夫のある能力に気づいた妻が夫を利用して、結婚詐欺に手を染めていく。
全てが絶妙に絡み合っていて、それぞれの人間性も魅力的で素晴らしかった。
妻が段々と執念のようなもの取り憑かれていき、人を見下している世界に入り始めてしまう。
阿倍サダオの誠実で真面目であるからこそ、色んな人から受け入れられるそこを間違ってしまうとここまで道を外してしまうのか。
オリンピック選手の子とご飯食べている時に言ったセリフが印象的でした。
「お前の目に映っている世界の方がよっぽど気の毒だよ」
このセリフは、場面を通して夫と妻の中で意味合いが変わってくるような印象的なセリフでした
阿部さんと松さんの演技を見れて良かった
お金に翻弄され、犯罪に手を染める。
災難から始まり、浮気という一つの過ちから2人の関係性は大きく崩れてしまったが、お互いがお金がなくても幸せだと思える価値観であれば、こうはならなかったと考えながら観てました。
うーん
途中までとても面白かったのですが、男の子が刺しちゃうくだりは意味わからなかったなあ…。
余計すぎます。
そしてラストもよくわかりません。
こういうストーリーで、ちゃんとしたラストなんてないのかもですが…。
また、阿部サダヲもとても良い演技していましたが、こんなモテるか?と不思議になっちゃったり。
シリアスな雰囲気が似合うような俳優さんとかだったら、映画の雰囲気もまたガラッと違ってたでしょうね。
監督はこのような雰囲気にしたくて阿部サダヲを選んだのでしょうけど。
人生の責任のありどころ
リアルな質感とテンポが良くて面白かった。
『カルテット』の時も思ったけど松たか子はこういう影のある役が似合うな〜
デリヘル嬢の「自分で自分の人生に落とし前付けられれば誰に褒められなくたって幸せだもん。」ていう台詞で泣いた。
人生から逃げないふたりがかっこいい。
さすがに引いてしまう
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阿部と松の夫婦は小料理屋をやっていたが火事で店を失う。
再度店を建てるための金をためるため、雇われで働き始める。
ふとした事から、阿部は松のシナリオのもと結婚詐欺を働くようになる。
2人とも才能があったようでボロ儲けするようになった。
しかし阿部は騙す女たちの素直さに良心が痛み始める。
そしてついに松を裏切って騙す予定の木村宅に泊まる。
しかし過去に騙した田中が探偵だかヤクザの何かの鶴瓶とやって来る。
そして田中にボコられ、木村の小さな息子が鶴瓶を刺す。
こうして警察沙汰になり、松のところにも警察が来る。
寸前で逃げ出した2人は新たにやりなおそうとする?
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最後よう分からんかった。
松はともかく阿部は何で警察から逃げれたの?って感じ。
とにかく騙される奴らがいい人達なので心が痛むし、
それが嫌で正直楽しめる感じじゃなかった。
しかし松は怖い役もハマるようになって来たな。
ふーん、えっちじゃん
阿部サダヲの演技が好き。
なんかクセになる。
イケメンじゃないけどなぜかモテちゃうのはわかる気がする。
松たか子の演技もすごい。
めちゃくちゃエロい。
映画の内容はいまいちピンとこなかったけど、松たか子の体当たりの演技に拍手。
それだけでも観る価値あり。
タイトルの「夢売るふたり」の意味とかラストシーンのカモメの意味とかよくわかってないんだけど、教えてエロい人。
それでも一緒にいるには訳があるのね。
二人の演技は問題ないのだけど、綺麗に汚している映像に違和感しかない。
こういうの映画の共通点は脂っぽいギラギラした汗的な演出が多いということ、リアルはみんな乾いててカサカサして皺の中が汚れてるのに。正反対の描き方に気づいてほしい。ツルツルのお肌にテカテカのオイル的なのは無いゎ。
ズルズルした感情は誰にでもあるし、ここまで落ちることも簡単だろうけど、作られた泥沼感が画面から出ちゃってる。
それは愛か?特に答えはない。愛の答えは自分でどうぞ。という感じが、ありきたりで、特に何も残らない作品。
思わぬ展開。ラストシーンはどう解釈すべきなのか???
脚本(西川美和)がよく出来ている。あるかもしれない(でもうまく行く筈はない)結婚詐欺の話だが、途中からの展開は全くの想定外。相当な汚れ役だが、松たか子の演技力派高く評価すべきではないか?松たか子が何かを凝視しているラストシーンはどう解釈すべきなのか?まだ考えている。
緻密なシナリオと名演で観せる人間賛歌の作品。劇としても男と女の役割が入れ替わっていく妙が素晴らしい。
今回は夫婦バージョン。海外ではどうだかわからないが、日本では大抵の場合、男より女の方が仕事ができる。たいして努力もするつもりもないのに、大きな夢を語る男とそれをニコニコしながら聞いてあげている女。好きな女の子に自分を大きく見せたい、幸せにしたい、という気持ちに嘘はなく、微笑ましい。そんな口だけ男に一生懸命尽くす、できる女、里子。好きな男の話を全部真に受ける。そのまま里子だけを頼っていけば何も起きず二人は幸せになれるのだけど、これまた男の愛故の焦りと偶然が物語を動かす。二人の愛は深まるのか遠ざかるのか。
里子は聞くだけ女子ではなく、脇役=番頭さん=キャッチャーもできるし、主役=社長=ピッチャーもできる二刀流だ。しかし本質は変わらず一途な愛があり、一度決めた相手を裏切ることはしない。相手の夢を一緒に叶えることが自分の夢でもある。終盤ダメ営業マンを叱りつけるできる女社長となっても里子は最初の里子のままだ。かなり誇張はされているが日本の至るところで繰り広げられている男女の愛やすれ違いを、時にはドタバタ劇で面白く、時には哲学的なアプローチで見せていく。誰もがもがきながら一生懸命生きているだけで本当に悪い奴が出てこない。そんな夫婦愛に亀裂が走るが、まるで空から大量のカエルを降らせるような奇跡で、これまでの里子の行動を肯定し、悪い結末に向かうことを止める。奇跡は当然ハッピーエンドを予感させるので救われた気持ちになれる。終わらせ方は世間的に受け入れられる方向で、自分的には不満。でもそこはどうでもいいところ。全ての描写に意味を持たせすぎているところは、面白くもあり、見終わって頭が疲れる。ジェットコースター的純文学作品?なのかな。
人っておもしろい
松たか子そして阿部サダヲの仲良い夫婦
お店が焼けなかったら順風満帆だったのに
女性を騙さなくてもよかったのにと思うけど
それぞれの女性の悩みや闇があることを浮き彫りにしてその女性に合った寄り添い方を描がいていておもしろい
特に松たか子の顔の表情が絶妙。何を思っているのかがわかる。最後 もしかしたら夫は戻ってこないとかもと思うシーンもすごくよかった
阿部サダヲも女性の闇の部分の隙間を上手く寄り添いながらまた丁寧にだましていく。。全てに愛を感じた
里子が市場で働いているところで見つめる先には出所した貴也が見えていたのかも知れない 人っておもしろい
笑えるところもあり共感できるところもあって惹き込まれる作品でした
目的もなく他人の心の中まで入り込んではいけない
誰にでも悩みはあるだろう
占い師などに「あなた、今何か悩んでますね」
などと言われてまったく何もないって人はそうそういないと思います
占い師のとこまで行ってるんだからね
人と交われば良いとこも悪いとこも見えてくるもの
不幸を言い合って共感し合うのは根本は何も変わらないと思うんです
思うんですが根本てなかなか変えれないですよね
自分の力で変えることができるのはとりあえず自分の心
天気が悪いだとか、会社の上司が気に入らないだとか、親がボケてて言うことを理解しないだとかなんて事なかなか改善できやしない
晴れた日があるから雨が降る何も悪い事じゃないのです
子供の頃から抗えないものに服従もしない代わりに反抗もせずにただただ過ぎ去るのを待ってました
あの時誰かが助けてくれたなら
でもなかなか助けは来ないし心は荒んでいく
もう生きる術は現実逃避しかなかったな
しかしその現実逃避は意外にも楽しかったように思えてならないのです
その時間はとても楽しく幸せだった
そう「夢」のような世界だったのです。
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