「ウィルスとゾンビのWパンチ!」ワールド・ウォー Z 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
ウィルスとゾンビのWパンチ!
突如蔓延し始めた謎のウィルスにより人々が凶暴化し、世界中が大混乱に。元国連調査員のジェリーは家族の身を案じながら原因を追求する。
公開前は“問題作”だった。
監督と主演のブラピの不仲説が流れたり、撮り直しや追加撮影・再編集が行われたり、制作費も膨れ上がったりで、大コケするのではと危惧された。
しかし、いざ公開してみたら、世界中でヒット、ブラピにとってもキャリア最大のヒット作に。何とか、成功した部類になった。
映画は、巻き込まれ型終末ウィルス&ゾンビ・パニック映画と言うべきか(笑)
感染した人はゾンビ化するので、ゾンビ映画でもあるが、ウィルス・パニック映画の印象の方が強い。感染原因を突き止めようと奔走する主人公の行動がまさにそれだ。
ウィルス・パニックが終末感を色濃くし、ゾンビ映画としてもスケールが広がり、動きが俊敏で音に敏感だったりと目新しい点も。圧巻はゾンビの人柱!
それぞれの要素が上手くミックスされている。
映画始まって10分も経たぬ間に、主人公家族の平穏な生活は破られる。
展開早っ!…と思いつつも、事件なんて何の前触れも無く唐突に起きるし、リアルには感じた。
中盤のイスラエル〜飛行機内、終盤の研究所内…ハラハラドキドキの見せ場を随所に設け、緊張感は失速する事無い。
色々ゴタゴタあったせいか、粗い点も。
ブラピ演じるジェリーはスーパーヒーローではないにせよ、スーパーヒーローのような活躍が目立つ。元国連調査員という設定だから観察力・注意力がずば抜けているのはまあいいとして、終盤の研究所内でのハラハラドキドキの見せ場なんてご都合主義でもあったりする。また、飛行機内で手榴弾を爆発させるのは幾ら何でも暴挙が過ぎるのでは…?
ジェリーの行動の動機は家族を守る為で、家族愛を下敷きにしたのはいいが、その描かれ方は典型的で、重みに欠けるほど薄い。パニック描写に印象と比重が持っていかれてしまっている。
根っからのゾンビ映画好きには物足りないかもしれないが、ウィルス・パニック映画としては無難に。
特にグロい描写も無く、スマートな仕上がりの、万人受けするパニック・エンターテイメント。