「ゾンビによるA級作品への挑戦」ワールド・ウォー Z マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
ゾンビによるA級作品への挑戦
毎年、必ず何本か作られるゾンビものだが、本作は鳥インフルエンザなどに代表されるようなウィルスの蔓延によって世界が異常事態に直面するところが特徴。
ゾンビからの逃走劇に加え、ウィルスの謎と感染源を突き止めるという病理的要素が話に幅を持たせた。
感染した者は親兄弟見境なく次のターゲットを狙う。そのため、感染者には容赦なく軍による銃弾が浴びせられる。救いようのない世界が描かれていく。それを象徴するのが、安全を保障していたはずの防護壁をゾンビが団子状態で我れ先によじ登るあのシーンだ。“人間”として生き残る術が絶たれる瞬間を描いたこの場面は凄みがあり、映画史に残る名シーンに仲間入りすることだろう。
旅客機のコクピット部分が転がるシーンも、今まで見たことがないアングルとアクションで迫力がある。
残念なのは、緊迫感を煽るため全般に駆け足で、感染から逃れる方法に辿り着くための伏線をせっかく散りばめていながら、一瞬で十分な情報が得られず、そのどれもがピンとこないところ。とくに暗い場面では分かりづらい。
終盤は白を基調としたラボでの攻防で「バイオハザード」と大差なくなる。
収穫はイスラエルから行動を共にする女性軍人セガンを演じたダニエラ・ケルテス。実質、この作品のヒロイン。本作がデビューで今後が楽しみ。
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