劇場公開日 2013年8月10日

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「危害、破壊、席巻。」ワールド・ウォー Z 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5危害、破壊、席巻。

2013年8月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

役者としても制作者としても名高いブラッド・ピットの
制作/主演最新作。監督は『ネバーランド』等の人間ドラマの他『007/慰めの報酬』を手掛けたマーク・フォースター。

突然、世界規模で拡大し始めた謎のウィルス感染。
感染してわずか12カウントで狂暴化、陸上選手も
真っ青の速度で人間を襲い、加速度的に増殖していく感染者。
世界中が見る間に感染者に席巻されていく中、
辛くも生き残ったブラッド・ピット演じる元国連職員は、
家族の保護を条件に、『細菌学者と護衛チームを引き連れて
ウィルス発生源を探り、ワクチンを開発する』という
危険な任務に参加する事となる。
みたいなアラスジ。

恐怖の正体をはっきり見せない予告編だったので
何のジャンルの映画かピンと来なかった方も居られる様子。
流石に今はある程度ネタが割れているとは思うが、
本作は『28日後…』『ドーン・オブ・ザ・デッド』のような
猛速ゾンビ映画と同系統の作品と言って良い。

ただ通常のこのテの映画と違い、グロテスクな描写
(血がドバーッ!とか内臓ネチャーッ!とか)が極力
控えられており、物語の展開もメチャクチャ早い。
アメリカ→北朝鮮→イスラエル→……と場所をくるくる移動し、
息つく間もなく危機に見舞われる。
展開にウジウジしたところも無いので、
ストレスなく一気呵成に観賞できる。なので印象としては
ホラー映画ではなく、恐怖要素やや強めのパニックアクション
みたいな感じだ。
(同監督の『慰めの報酬』は展開が早すぎて余裕が無いと
 感じたのだが、今回はこれが良い方に作用したと思う)

尊敬する芝山幹郎先生の評論にも書かれているが、
これならゾンビ映画がニガテな方でも割とイケるだろう。むしろ
そのテの映画を観ない方こそ、新鮮に感じられて楽しめるかもね。

ブラッド・ピットは相変わらず親しみ易いヒーロー性が良い。
奥さん役のミレーユ・イーノスも良かった。悲しい顔を見せずに
夫を送り出す、愛情豊かな妻。いざという時に足手まといにも
ならない強さもある(けど電話のタイミングはサイアク(笑))。
実は映画出演はあまり多くない方らしいですね。
残念なのは娘達がイマイチ存在感を発揮できなかった点かな。

ハイ、以下、不満点。

どうにも伝え難いのだが、鑑賞中は文句なしに
スリリングなのに、観終わってからの印象がどことなく薄い。
飛行機のシーンや“人柱”など、ビジュアルショックの
そこそこ強いシーンはあるのだが、スピード重視の展開が故に
強烈に頭に焼き付くまでに至らなかったのかもしれない。
人間ドラマとして感情に残る部分が薄めなのも要因かな。

それと、オチの部分。ワクチンを巡る話の決着に
納得はしているのだが……なんというか、一抹の不安が
残るような。本当にそれでずっと通用するかしらというね。
ま、それも含めての「戦いはこれから」という台詞だったのかも。

以上!
間口が広く、鑑賞中存分に楽しめるスリリングな映画に
仕上がっていると思います。
判定としてはホントは3.75といったところだが……
うーん……上記の不満点を踏まえて、
ちょい厳しめに3.5判定で。
けど、水準以上! 観て損は無い面白さです。

〈2013.08.11鑑賞〉

浮遊きびなご