劇場公開日 2012年6月23日

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「これは「砦ごっこ」だ」アタック・ザ・ブロック マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5これは「砦ごっこ」だ

2012年6月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

興奮

得体のしれない生き物から逃れるパニックアクション・ムービーだが、舞台を公共団地に限定し、エイリアンに対峙するのが軍でも警察でもなく団地の不良少年グループという設定が独創的だ。
また、台詞がラップ調なのと、時間の経過がほぼリアルタイムに進行するのも特徴だ。一晩の出来事で昼のシーンはない。

突然やってきたエイリアン(これが毛むくじゃらの着ぐるみみたいで笑えるのだが)。
これに対抗する少年たちの武器は、バットに忍者刀、ロケット花火と爆竹、それに水鉄砲だ。
マジに考えたら、こんな武器ではエイリアンどころか猛犬もやっつけられない。
こんな武器で戦うのは遊びの「なんとかごっこ」のときだけだ。
そう、この映画がやっているのは自分らの基地を守る「砦ごっこ」なのだ。
どこからともなく攻めてくるワルいやつ、恐ろしいやつから住処を守るために、やれ花火だ、切り倒せ、そっちは水攻めだと、子供のころの遊びを大人の遊びでちょっと大袈裟に作り上げた話だ。そこは「グーニーズ」(1985)とも共通している。(比べたらキャラクター的に本作の方がずっと弱いが・・・)

エイリアンに対する容赦のない攻撃も、子供がもつ残酷性を表していると見て取れる。

不良グループのリーダー格・モーゼス。ワルく見えてもまだまだ子供。彼の部屋を見ればわかる。ヒーローに憧れる普通の少年の部屋だ。
その子供っぽい部屋に、それまでのモーゼスを見る目が変わるのは看護師のサムの目とまったく一緒だ。そして、やっぱりこれは少年が一世一代の大舞台を演じる「ごっこ」なのだと確信する。

サムの彼氏が医者で、海外の子供を助けるために働いていると聞いた少年の一人が「アフリカじゃなくこの国の子供を救ってくれよ」とつぶやく。けっこう矛盾点を突いた本音の一刺しだ。

マスター@だんだん