「低予算ならではのアイデア勝負映画として、まずまずは楽しめました」アタック・ザ・ブロック スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)
低予算ならではのアイデア勝負映画として、まずまずは楽しめました
低予算のB級エイリアン襲来物としては、まずまずは楽しめました、タランティーノが絶賛なんて文言も目にしましたが、確かにこれはいかにもタランティーノが好きそうなB級SFパニックホラーだったかもしれませんね。
まあ真面目に大作SFパニックホラー物と比べてしまえばそれは相当落ちますが、低予算なりのアイデア勝負映画としてならば、十分見て損の無い内容だったと思いましたよ、主人公達が暮らす低所得層の団地周辺のみと言う、物凄く狭いエリアでのパニック物なんで、スケール感はとても小さかったですが、途中で明かされるこのエリア限定の理由がなかなか説得力のある理由だったりして、そこはちょっと面白かったです。
団地の不良少年軍団VSエイリアンなんでどうしてもご都合主義な部分は否めませんでしたが、少年達が主人公の割にそこそこグロい展開もあったりで、まあまずまずの見応えはあったかなと思いました。
ただエイリアンが、あまりにもちんちくりん過ぎて、全くエイリアン感は無かったですね、牙だけ見える黒いモフモフした生き物で、ほぼゴリラ?熊?サイズ感と言い、相当ショボそうなエイリアンでしたね、でも狂暴は狂暴なんで、侮るなかれ、死人も思いのほか出ましたし、ユルそうに見えて意外と終始緊張感があったのは、私的には結構好ポイントでした。
製作総指揮にエドガー・ライトの名があったことからもう少しコメディ色の強い映画だと思って見たので、そこはちょっと意外でしたね。
まあしかしこの映画は、主人公達に共感できるか、そこが鍵になる映画だったかもしれません。
ダメな人はとことんダメでしょう、15歳以下の少年達とは言え、ほぼプチギャング団でしたから、序盤の描写で大なり小なり不快感は免れないと思うので、私もこれはどうなのかなぁ~と、微妙に感情移入できないまま見ていたのが正直なところでした。
ただギャング団のリーダーのケジメのつけ方が良かったので、終わってみればこれはこれで悪くなかったように感じましたけどね、イギリスの社会問題を織り交ぜながらエイリアン襲来物を作ったと考えれば、なかなか味のある作品だったのではないかと、ホント終わってみればそう思えるって感じなんですけどね。
それにしてもリーダーのモーゼスを演じたジョン・ボヤーガの存在感は突出していましたね、その後スター・ウォーズ俳優となったのもこれは物凄く納得、時々デンゼル・ワシントンのようにも見えたり、とにかくスターのオーラに溢れていました、終盤に向かうに連れて覚悟を決め顔つきが変わっていく辺り、何気に惹き込まれてしまいましたよ、刀で戦う姿もキマッてましたね!逆に団地の住人ニック・フロストは、特に何もせず、ある意味彼らしい存在感を放っていたかと(笑)
あと不良軍団も、やっぱりまだ少年なんだなと思わされるような、ホッとできる描写も結構好きでした、それと全体的に小道具の使い方も何気に上手いと感じた作品でしたね。
まあ看護士のサムの使い方とか欲を言えばもっと面白くなる要素はあったと思うのですが、でもこれはこれとしてまずまずは楽しめた映画だったかなと。