「天何言哉。」新少林寺 SHAOLIN ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
天何言哉。
少林寺といえば、リー・リンチェイ(J・リー)。
1982年の爆発的ヒットは未だ記録が破られていないそうだ。
当時はそれほど彼に興味はなかったものの^^;
まぁ~美しいことこの上ないあの型!可愛い顔にあのポーズ!
武術チャンピオンばかりを集めた前作とは趣を変えた本作。
なんで少林寺にJ・リーが出ないの??とまず思うんだけど、
(どっかに出てきて欲しかったわね~)
今作は演技派A・ラウを迎えドラマに重点を置いた作品だった。
J・チェンが彼らしい役どころで出てくるんだけど^^;
1911とはまるで違う、いかにもジャッキーという役どころがいい。
もちろん武術系のアクションスターも(あまり知らないんだけど)
ちゃんと登場しているので、そちらの見所も多数ある。
いかにも少林寺系の話(悪から人々を守る)には違いないのだが、
そのドラマ性の素晴らしさに終焉までに何度も泣けてしまった。。
傲慢な将軍から一転、何もかも失って抜け殻になりながらも、
少林寺で修業を積みたい、と申し出てからのラウがとてもいい。
もちろんそこまでのドラマもかなりの白熱アクションが続くが…。
兄に裏切られたかと思いきや、信厚だった部下に裏切られて、
娘の命を失い、妻の信頼を無くし、自身の命も狙われている身と
なった主人公が寺に逃げ込み、そこで心を「無」にすることを学ぶ。
冷酷な仕打ちをした過去を非難する者を嗜める方丈(ユエ・ハイ)
素晴らしい演技と技、師弟愛を見せた浄能(ウー・ジン)をはじめ、
子役に至るまで技も演技も完璧なほど素晴らしく、観応えがある。
善悪をハッキリと描き分けている作品なのに、善悪の境界を超え、
赦すことをテーマにしている趣すらある。
食うものにも困る生活ながら人々への恩恵を忘れず、命を持って
寺を守り通す少林寺の面々に、堪えられない感動を覚えてしまう。
分かっちゃいるんだけど…泣けてしまうのはそこだ。
いかにも武術大会だった前作とはガラリ変わって、ドラマである。
芸術面で見劣りするのは致し方ないが、ストーリーでカバーである。
好き好きはあれど、私的には満足のいくドラマ・少林寺だった。
(天何言哉。今の中国を見ているとこんな作品が必要かもですねぇ)