「好きな俳優2人でも、ラブコメには既に賞味期限切れの御二人様、感情移入出来なくてごめんなさい!」幸せの教室 Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)
好きな俳優2人でも、ラブコメには既に賞味期限切れの御二人様、感情移入出来なくてごめんなさい!
長い人生では時には、行き止まりを経験し、引き返して人生出直す事になってしまう様な経験など、思い通りにならない失敗体験の1つや2つは誰の過去にもあるものだ!
そして、そんな体験をもしも貴方して、悩んでいるとしたならば、そっとその答えを一緒になって探し出す手助けをしてくれそうな秘密の映画がコレ「幸せの教室」なのだ!
トムハンクスからあなたへのプレゼント「あなたの行き止まり人生の答えを見つける方法」と言うわけだ。
つまり、ラブコメと言うよりは、「SELFHELP」の教習本を観ている感じのする映画だった。
トム・ハンクスが演じるラリー・クラウンは何事にも真剣に取り組み、のめり込むタイプのキャラクターだ!真面目なのは良いが、見方を代えれば廻りが見得ない、融通が訊かないタイプの不利なマヌケ人間タイプと言うわけだ!そして、こう言う気真面目で、人の良いタイプの人間は損な役回りを強いられると言うのが制作者の意図する事?今の世の現実と言う事?そうトムは言っているらしいのだが・・・
でも諦める事は無い!人生は、思い立ったが吉日、人生は何時からでも、誰でもがやり直すと決心をすれば、必ず新しい自分の将来との出会いが出来ると言う訳だ。
本当に、同感で有ると同時に、また、それってウソでしょう?と言う気がするのだ!
自分自身が新たに歩み出した再出発は、決して無駄な事では無いし、きっと必ずや、貴方の将来にプラスの作用を提供してくれる事は、間違えは無いのだが、しかし、その1つは1つの結果は必ずしも、本人の思惑通りには結果が出ない事も有ると言う現実のシビアな事を知る時もあると、この映画は物語っている気がする。
映画とは、どれ程良い素材や、テーマであっても、そして大スターの夢の競演でも、恋愛適齢期の賞味期限切れの二人が演じる映画では、お客さんの入りは決して良くは無いと言う現実が見えて来るのだ。映像的に綺麗に観えないのだから、夢を提供する映画として、その価値が半減してしまっても、こればかりは、残念だが人生の現実で手も出ない!
トムの制作意図などは良く理解出来るのだが、アメリカでは、いえいえ現在の日本でも大学へ行くのは当たり前事で、この競争社会で人よりも少しでも有利な立場を得るためにはと、大学院卒の人達が増えている昨今、その彼ら達でさえも、希望する職業に就職出来ない時代である現実を考えれば、高卒では当然不利だと言うのが理解出来るのだが、この主人公のラリーは8回だか、9回も表彰される優秀な社員だ。その彼を簡単に解雇するこの会社は、訴えられないのだろうか?アメリカ社会で、いささか納得がいかないところだった。
また、キッチンドリンカーと化するマーシー・テイノー教授も設定的に現実味が薄い。この様な才女なら、もっと早い段階で策を講じていたはずだ。
トムも、無理矢理ラブコメ映画の企画を全面に描かずに、もっと家族との繋がりや、葛藤の中で、お互いが成長して行く過程が描かれる作品を作れば良かったのに、何処に観客のターゲットを絞り込んでいないのだろうか?
アメリカも日本でも、高齢化が進んでいる現在の状況で、人間は幾つになっても恋愛をしていたいと言う気持ちがあるのも充分納得出来るし、高齢者の恋愛を描いても全く構わないのだが、「愛と追憶の日々」の続編の「夕べの星」のシャーリー・マクレーンとジャック・ニコルソンの様な大人の恋愛を表現して決して悪くはないのに、どうしてこの映画は陳腐な映画になってしまったのだろうか?
「すべてをあなたに」はとってもパワフルで情熱に溢れた素敵なストーリーで演出もとても良かった記憶があるのだが、何故か今回のトム・ハンクスは、こんな平凡で感動出来ない作品を監督した事自体が不思議だ!!
そして何となく、全体に冴えない顔色であったのだが、シリアスな病気で無ければ良いのにと、急に気になるほどだった。そう言えば、「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」でも出番が少なく、妙に不自然な感じがした。「男はつらいよ」の寅次郎こと渥美清の事とトムの事がダブってしまった。
病気では無い事を祈りつつ、トム・ハンクスの素敵な次回作に期待したい。