「タトゥーを見せるくらいなら。」幸せの教室 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
タトゥーを見せるくらいなら。
そもそも大卒じゃないからという理由で、長年真面目に働いて
8回も今月の人(優秀従業員ってことか)に選ばれるような男を
安易にリストラする会社がおかしい。
いや、今ではそれが当たり前になっているのか…こんなんじゃ、
世の中良くなっていくワケがないじゃん!と小学生でも分かる
リアルな現象の冒頭…日本人も笑っていられないこの生活難。
トムが演じるから妙に説得力も湧くけど、離婚して家のローンは
残ってるわ、この不況でどこも雇ってくれないわ、で散々な目に。
こうなったらガレージセールだ!と家具を売り払おうとした矢先、
隣家の夫婦から大学入学を勧められる…。もともとトムが演じる
ラリーは20年間、軍隊でコックをやっていた人間だ。それなりに
苦労も辛酸も舐めてきただろうオッサンが^^;一念発起!こういう
語り口にトムは最も適役じゃないの!…と思ったんだけどねぇ。
いや、決して悪い話ではないし、つまらなくはない。
だけど…なんか魅力に欠ける話なのだ。どこをとってみても。
大学入学までの経緯、クラスメイトとのやりとり、教師との出逢い、
生徒の一人と仲良しになり、集団でバイクを乗り回してみたり、
女教師と仲良くなって飲んだあげくに…となったり^^;
いわゆる「いいヒト」が周囲に弄られてあか抜けていく様子など
まぁ分かり辛い話ではないんだけど、だからどうした?感も残る。
グッとくるようなシチュエーションに欠ける授業風景、
(スタトレのタケイ氏が演じるマツタニ教授の授業は面白い)
説得力に欠ける学生生活(風水をモチーフに模様替えしてみたり)
あっちへこっちへと話が散漫になる。
誰が主人公で、何を描きたいのか。そもそものタイトルがラリー
の名前なんだから、このラリーという男をもっと面白く魅力的に
描けばよかったのに…と思えてならない。様々な作品で主人公を
演じてきたトムだが、なんかこの作品では周囲に華を持たせようと
しているのか?ハッキリしない。だからジュリアも魅力的ではない。
嫌味な女教師と素直だけが取り柄の男が、まぁブッチュブッチュv
するのを見てもねぇ^^;退けてしまうのだ。。好きな俳優なんだけど。
今のご時世、そうはドラマチックにいかないんだろう。
ある程度リアル感を入れて、人種も様々取り揃えて、は分かるけど
別に私は「醤油」のタトゥーなんか見たくなかったよ^^;
あんなシーンを入れるなら、もっと学生生活なり授業風景なりを入れ、
教師や生徒達を活き活きと描いて欲しかった。
どうして「幸せの教室」なんていう邦題をつけるまでになったのかを、
その幸せ感がどこに漂っていたのかを、ぜひ私に講義して下さいな。
(上司がピザ屋になっていた、あのシーンだけは切なすぎて泣けるね)