「斬らずに守る誓い。」るろうに剣心 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
斬らずに守る誓い。
タイトルは聞いたことがあるが、原作もアニメも全く見ていなかった。
なんか面白そう…という感覚で観に行ったものの、
観終えて、これはなかなか良かったぞ~と思うほど気に入ってしまった。
まず主演の佐藤健。
どう考えても人斬りになんか見えないぞ、その細い足腰…と思いつつ、
何とも柔らかい物腰が、グイっとあのデカい瞳をひんむいて啖呵を切り、
いわゆるチャンバラ劇に入ったと思うと、どんどんサマになってくる。
アクションカメラともいえる撮影方法(今時の)斬り合い場面では、昔の
時代劇俳優の様な見事な立ちまわりができる俳優は少ないと思うので、
(アイドル俳優ばかりだし)そっちを期待するのもどうかと思ったけど、
なかなかの迫力で観せてくれたと思う。
なんといっても敵役(吉川とか)が迫力満点なのがまた、勝因ともいえる。
さらに監督・大友啓史なので、どこを観てもかの「龍馬伝」と被る。
佐藤健といえばあの(万人が泣いた)岡田以蔵。
冒頭の人斬りに身を投じる姿など、まったくあの通りなんである。
そして香川照之といえばあの(鳥籠が懐かしい)岩崎弥太郎。
なに!今度はアヘンで商売か!?と、どう見ても考えてもダブるお姿。
加えて蒼井優といえばあの(また人を騙すのか)お元。
あれも良かったが、今回も絶品。河原での告白には泣けてしまった。
まだまだ、青木崇高といえばあの(大政奉還)後藤象二郎。
なにかとダイナミックな役どころがとっても似合う俳優さんである。
時代が時代であり、世の中が激動していた中、どの道を信じ、
どう生きるのが本来の人間らしい姿と繋がるのか模索していた剣心。
とはいえ、ニセ抜刀斎に吐き捨てられた
「人斬りが斬らずしてどうやって人を守る?」が胸にズンと突き刺さる。
剣心が本来志していたのはどんな世界だったのだろう。
…なんとも頼りない感じが否めない^^;武井咲が演じる師範代、
彼女の父親が開いた神谷道場にほぼ、その答えがあった。
不殺の誓いをたて流浪人となった剣心の心に守るものが見えてくる。
所々に頼りない台詞やらはあるものの、
独特の世界観と、背負うものをしっかり背負った人間の重い苦しみは
痛いほど伝わってくる。剣心のように万能の剣術の腕を持ってしても、
万能な生き方など(教わる人間に依るが)なかなか会得できないものだ。
大きな悲しみを抱きながら、それでも生きていかねばならない人間は、
強さの反しで優しさを併せ持つ。芯の強い人とは心が強い人なのだ。
彼の誓いが万人の心を救う時がくるのだろうか。
原作がどうなっているのか分からないが、シリーズで観たいと思った。
(何気にコメディ色も強かったなぁ、不思議なことに^^;あれはどういう?)