「大キライだった漫画の実写化をちょっとひとなでしてタメ息をひとつ😮💨 とはいえ、この出来ならカエルちゃんもウサギちゃんも笑ってくれるんじゃない?」るろうに剣心 たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
大キライだった漫画の実写化をちょっとひとなでしてタメ息をひとつ😮💨 とはいえ、この出来ならカエルちゃんもウサギちゃんも笑ってくれるんじゃない?
大ヒット同名漫画を原作にした、アクション時代劇『るろうに剣心』シリーズの第1作。
幕末の世、「人斬り抜刀斎」と呼ばれ恐れられていた剣客・緋村剣心は、新時代を「るろうに」として流れながら生きていた。
しかし、神谷活心流道場の師範代・神谷薫との出会いが、彼の人生を大きく動かしてゆく…。
監督/脚本は『ハゲタカ』の大友啓史。
主人公・緋村剣心を演じるのは『劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル』『BECK』の佐藤健。
神谷道場の師範代・神谷薫を演じるのはテレビドラマ『大切なことはすべて君が教えてくれた』や『愛と誠』の武井咲。
阿片の製造法を知る女・高荷恵を演じるのは『フラガール』『百万円と苦虫女』の蒼井優。
武田観柳に仕える覆面の刺客・外印を演じるのは『GANTZ』シリーズや『ヘルタースケルター』の綾野剛。
元新撰組三番隊組長で現職の警察官・斎藤一/藤田五郎を演じるのは『スワロウテイル』や『アンフェア』シリーズの江口洋介。
貿易を営む大富豪・武田観柳を演じるのは『20世紀少年』シリーズや『カイジ』シリーズの香川照之。
牛鍋屋「赤べこ」で働く女の子・三条燕を演じるのは『ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲』『私の優しくない先輩』の永野芽郁。
抜刀斎に惨殺された青年・清里明良を演じるのは『僕の初恋をキミに捧ぐ』『十三人の刺客』の窪田正孝。
『DRAGON BALL』『SLAM DUNK』『幽☆遊☆白書』など、青春を彩った大好きなJUMP漫画は沢山ありますが、その中でも一時期狂ったように熱狂していたのが『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』。
少女漫画のような耽美な絵柄と、他の作品とは一線を画す時代設定、そしてダークでアダルティな物語にもうメロメロ😍
もしもあのキャラクターが生きていたら…とか、剣心たちの子孫で現代編を作ったら…とか、何度頭の中で二次創作を繰り返したことか…。
アニメのクオリティも非常に高く、特に京都編やOVAである追憶編はアニメ史に残る傑作。古橋一浩監督、クソみたいなアニオリだらけだった後半と暗すぎる星霜編のことは忘れるので、とにかく人誅編をアニメ化してくだされ!
という訳で、思い入れの強さからスルーしていた実写版。遂に観賞開始してみました〜。
「漫画の実写化」といえば、言わずと知れた糞の山。
そんな中、本作はどうだったのかというと…。
端的に言えば、悪くない。言いたいことがない訳ではないが、普通に楽しめる娯楽映画だったと思います。
原作でいえば1〜7巻、「東京編」と言われるこざこざしたエピソードの連なりを一つにまとめ上げたこの脚色は見事👏
冷静に考えると、薫との出会いから刃衛との対決まではほんの数日の出来事であり、それにしちゃ人間関係の構築スピードが早すぎないか?とか思わん事も無いんだけど、映画を観ている間はその事が気にならない程、原作漫画のエピソードの抽出&配合の具合が良い塩梅だった♪
新時代チャンバラアクションとも言えるド派手でスピーディーな剣戟も楽しかった。
ちょっとワイヤーアクションがクドいかな…とは思ったし、斎藤一の「牙突」がダサすぎてもはやギャグになってしまっていたのは頂けなかったが、おおむね良かったのでは無いでしょうか。
ちょっと苦言を呈すると、ランタイムが少々長く、中弛みを感じてしまったのは事実。
特に外印&番神(お前らだったんかい!💦外印は原作と違い過ぎるだろ!)戦は、いかにも尺伸ばしの為の消化試合って感じがした。
せめてランタイムは120分以内に納めて欲しかったわね。
あと、斎藤一と剣心の関係性の描き方については、もう少し踏み込んで欲しかった。
この2人、幕末時代に何度も戦ったライバルなんだけど、この映画版だと剣心が斉藤に対してあまりに淡白すぎる。
「やけに絡んでくるけど、お前誰だっけ?知り合い?」くらいの距離感やんけ!!
この2人のやりとりは斎藤一の片思い(まぁ原作でもそれはそうなんだけど)にしか見えず、剣豪的な怖さよりもストーカー的な怖さの方が目立った。
もう一つ言わせて貰えば、作中ほとんど斎藤一って呼ばれないのが不満。モブが一回言っただけ。
あの壬生狼の狂犬・斉藤一が藤田五郎と名を変えて新政府側で働いている、という設定にめちゃくちゃ燃えた経験がある身からすると、もっと彼が新撰組の組長だったということをフィーチャーして欲しかった。
「犬はエサで飼える。人は金で飼える。だが、壬生の狼を飼うことは何人にも出来ん」が聞きたかったの!!
恵のキャラクターもちょっと中途半端。
途中まで彼女が物語の鍵を握るヒロインポジションだったのに、結局最後は薫に良いところを持っていかれてしまった感じ。
仕方がなかったとはいえ阿片を製造していたことは事実なのに、そのことに対する追及が一切無かったことにも引っかかる。
原作通り、逮捕されそうになる彼女を剣心が「医者になって罪滅ぼしするでござる」と庇う展開はやっぱり必要だったんじゃないかな?
ここからは原作ファンだからこその不満…というか文句。
ストレートに言っちゃいます。キャスティングが嫌!!
男性陣は良いんです。
佐藤健に関しては、よくぞ彼を選んでくれた!という感じ。アクションも凄いし、「ござる」とか「おろ?」とかの剣心語も、まぁ正直実写で聴くと違和感あるんだけど、それでもとっても頑張っていたと思う。こんなん誰が言ったって違和感あるもんね。
みんな大好き斎藤一。正直、江口洋介ではイメージが違いすぎる!😡と思っていたのだが、映画を観てみたら思いの外悪くなかった。これはこれでアリ。
ただまぁ、牙突がダサすぎたのはやっぱり嫌…。
あの名言「お前の全てを否定してやる」も聞きたかった…。
この映画だと完全に脇役なんだけど、斎藤一って多分『るろ剣』で一番の人気キャラ。もっと出番を増やして欲しかった。
アニメ版の剣心vs斉藤は本当に神回なので、1人でも多くの人に観て欲しい😢
今回のキャスティングで一番感心したのは、超脇役にして超重要人物、清里明良を演じた窪田正孝!
この頃の窪田正孝って、多分今ほど大人気俳優って感じじゃなかったと思う。
そんな彼を、ある意味『るろ剣』の最重要人物である清里にキャスティングしたというのは先見の明があると言わざるを得ない。
正直、丁髷姿だったし出番も短いので、初見では窪田正孝だと気づかなかったのだが、迫力ある芝居は本作でも健在でありました。
男性陣は良いんです。問題は女性陣。
薫も恵も、イメージと違うんじゃあぁぁぁ!!!
特に恵!恵は何から何まで蒼井優じゃない!キャスティングしたやつ出てこいコラァ!💢
恵さんは黒髪ロングで手足のスラッと長い、妖艶な美女。栗山千明とかシシド・カフカとか、イメージ的にはそういう女性。
なんで蒼井優?いや、蒼井優は演技めちゃ上手いと思うけど、やっぱり恵とは似ても似つかんって感じで、最後まで違和感が拭えなかった…。
薫も、武井咲じゃ無いんだよな…。もっと朝ドラ系の女優さんって感じなんだよ…。
原作を未読だったら気にならない点だと思うんだけど、 原作派としてはどうしても看過できなかった。
これが漫画実写化の難しいところっすよね〜。
あともう一点。
原作の名シーン「ただいまでござる」の使い方が雑すぎる!💢
あれは薫に「さよなら」を告げた後、そして京都編の死闘をくぐり抜けた後だからこそのセリフであって、出会って1日やそこらの小娘に対して言って良いセリフじゃ無いぞ剣心!!😡
とまぁ、原作ファンとしては大キライだったそばかすをちょっとひとなでした時と同じくらいため息をつきたくなるところもあったけれど、悪い映画じゃ無かったし、今後の広がりにも期待出来る上々の1作目だったのでは無いでしょうか?
さーて、次はお待ちかねの京都編だ♪
…あっ、そういえば「日本剣術の行く末を真に憂う者」こと石動雷十太先生の姿が見えなかったような…。またメンタル崩したのかな?