「擁護します!」セカンドバージン 火猫さんの映画レビュー(感想・評価)
擁護します!
酷評もあり躊躇もしましたが、ドラマを楽しんだものとしては、確かめずにはいられませんでした。結果、傑作です。
監督には申し訳ないですが、脚本家の映画ですね。特殊なカップルの情事を覗き見る興味に終わって欲しくないという強い意志が貫かれています。
特筆すべきは、京香さん圧巻の演技でしょう。冒頭の台詞など、もう少し『やさしく甘える』ようにしたら…。と注文をつけたくなりましたが、終盤には、るいの強さに触れる件があって、あぁ、あれが正解なんだと納得させられました。全編、一分の隙もありません。
脚本家は、ふたつの小さなありふれたエピソードを織り込むことに心血を注いでいて、これこそが、この映画のすべてと言って過言ではありません。
ひとつは歌です。この際、歌の歌詞やメロディーはさほど重要ではなく、大切なのは、行が同じ歌を同じように口ずさむことに、るいが気づくという一点です。
『はぐれそうな天使』が選ばれた理由は、たぶん、脚本家の趣味でしょう(笑)(行くんと来生たかおさんのルックスの方向が近い?)
二人の年齢の違いを浮き立たせる年代の曲ならば、それで十分なのです。歌詞の内容に照れて、ハミングしたという見方も出来ますが、ハミングだからこそ行の耳に残り、ある少年も覚えたという展開を重視したいと思いますが、いかがでしょう。
もうひとつのプロットは、ご自身でお確かめ下さい。
愛する人が、このささやかな思い出に、どれほど慰められ励まされたかと気づく時、どんな思いがするのでしょう…。
るいさんの耐えるような表情が神々しいほどに美しい。
そして、行が投げつける不可解で酷い台詞も、実は、逆に読むべきだという示唆も与えています。勿論、自分を責めているのでしょう。
こうして、まるで全てのピースが埋まったパズルのように映画は完成します。
特別な美男美女に限らない、セレブに限らない、ましてや年齢差など関係ない、普遍的なメッセージを持って。
愛する人の好きなものを自分も知りたい、分かち合いたいと思う人ならば、絶対に観るべき映画です。
名演にどっぷり浸れば、深く長い心地よい余韻が待っています。
蛇足ながら、いずれDVD化されるでしょうが、エンドロールの曲は変えられないんでしょうか?ドラマと同じく、サティのアレンジも良いですし、来生たかお版『はぐれそうな天使』のイントロ、あるいは間奏に、るいと行のハミングを重ねたら最高です。なんとかなりませんかねぇ。
この作品を観た知人があまりいなかったので 火猫さまの熱く真剣なご意見は 深く感銘を受けました。ドラマの続きと結末が知りたい‥ただただ長谷川博己さんのファン から劇場へ観にいきましたが ドラマには流れなかった来生さんの曲がキーポイントになっています。るいさんがこの曲を口ずさむ時 何の曲かわからなかった私のような者にとりましては 後にハミングする行さんの曲と同じ曲とすぐに気がついた方は多くいらしたでしょうか。 前後の背景から 話の流れをくみ取りましたが。挿入歌『はぐれそうな天使』で後に 改めて聞いた次第です。この曲が大好きになりました。映画の専門的な見解はできませんが ドラマがあってこその映画化 とってもありがとうございました。ハッピーエンドが大好きな私は 行さんが生きてでのハッピーエンドなら 尚一層 よかったなぁ(あくまで長谷川ファンなので)と思いました。これからも映画のレビュー楽しみにしています。