「もっとも恐るべきは何か?」チェルノブイリ・ハート うにたん♪(コロナが当たり前の世界)さんの映画レビュー(感想・評価)
もっとも恐るべきは何か?
遥かロシアの大地で起こった出来事を淡々と紹介するドキュメンタリー。
今の福島でもどうにもできなかった放射能漏れを強引に人力で抑え込むも作業員たちも次々と被曝し死んでいった。近隣には放射能が降り注ぎ、取れた野菜や木の実、キノコから更に放射能を身体に取り込んでしまうと言う悪循環に目を覆いたくなる。
子ども達は影響で奇形や心臓の異常があり、奇形の心臓オペ無しでは長生きも出来ない。
見た目も異様な水頭症の子どもの未来はあまりにも暗い。
近隣の人々の身体への影響も酷い。
住み処から離れられず、異常なガンの発生率でご近所さまが亡くなっている事を訴えている。
チェルノブイリ後に耳で聞いた噂では、日本海側の地域に放射能を含んだチリが降りかかり、東北から北海道でその頃に乳ガン等の婦人科系のガンの発生率が三倍ほど上がったと言う。
チェルノブイリは未だにこんなだが、つい比較してしまう…日本は?福島はどうなんだ?と
災害直後はホットスポットだのなんだの言っていた。
原発の再開をどうするか?議論もされていた。
汚染土壌もひっくり返して埋めていた。
ぶっ壊れた原発をどうにも出来ず、ただ内部を見ていますと報道を繰り返していた。
汚染したモノを洗い流していた。
汚染水も貯めていた。
電気代も上がった。安全と言われた原発がこの様で一企業の損失を国民が引き受ける形になった。
計画停電までやっていたのにまたぞろ、LEDだからとどこもかしこも照明だらけである。不必要なんて誰も言わない。
古い原発だらけだが、こそこそと再稼働をスタートさせていった。
計画停電で脅しておいての原発必要を煽る感じであった。
企業の経済的理由から燃料による発電では金が掛かるから、原発以外の選択肢は失くなっていた。
恐ろしいプロパガンダである。
原発を推進するとどれほど儲かるのだろうか?
そして数年前まで汚染水の量を伝えていたニュースは昨今ついぞ見なくなった。
解体も出来ず、汚染水を貯めることも出来ず、海へ流すと言う。
影響ない程度だから問題ないと流していると。
問題ないなら何で建物を片付けられないんだ?
壊れても触れないようなモノを安全とか何で言えるんだろう?
後数年後、当時の子どもたちにガン発生率が上がって大量のガン患者を産み出しても、誰も責任を取らないだろう。地震だから仕方ないと。
だからこそ思う。ほんと恐ろしいのはなんだろう?と考えさせられる作品であった。
短編も付いていて、事故当時チェルノブイリ近郊に住んでいた若者が昔住んでいたマンションを訪れる内容だった。事故後に避難したがすでに被曝していると言う物悲しさだった