ブラッドレインのレビュー・感想・評価
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クリスタナ・ローケン目当て(笑)
『ターミネーター3』でファンになって、数年後劇場でこの映画の予告編を観て「あ、またヌードになるんだ!」とそれだけのために観に行ったのが懐かしいなあ(笑) なぜか『アローン・イン・ザ・ダーク』と裏表で印刷されてるプレスシートがパンフレット代わりに売られてて(それでも買いましたが(笑))。映画はまあまあでした、豪華キャストでしたけどね(笑) 当時はそれだけが目当てでも電車に乗って映画を観に行く気力があったんだなあ、映画への熱は冷めてませんが、人混みが苦手で、映画館は好きなくせに(笑)
ダメダメなところに味がある作品
2006年5月上旬に“新宿トーア(新宿東亜会館。2009年夏から秋に閉館した)”にて鑑賞。
映画ファンの間で“第二のアルバート・ピュン監督”と言われているドイツの異才ウーヴェ・ボル監督が、『ハウス・オブ・ザ・デッド』に続く人気ゲームの実写化作に取り組み、その名を知らしめた一作となったのが『ブラッドレイン』であり、『ターミネーター3』で注目を集めたクリスタナ・ローケンを主演に迎えて製作され、ローケンのファンだった自分としては、興味を持って、鑑賞してきました。
18世紀のルーマニアにおいて、ヴァンパイアを退治する為に行動する“業火の会”のメンバーであるウラジミール(マイケル・マドセン)、セバスチャン(マシュー・デイヴィス)、キャタリン(ミシェル・ロドリゲス)は訪れた見世物小屋で見つかった女性の死体をキッカケに、人間とヴァンパイアのハーフとして生まれた女性戦士レイン(クリスタナ・ローケン)の存在を知り、彼女の行方を追うが、レインは実父にして宿敵でもあるケイガン(ベン・キングズレー)を倒すために、彼の城を目指して前進していた(ここまでが粗筋)。
初鑑賞時の印象は、全く良くありませんでした。「こんな、つまらない作品を何で、観に行ったんだろう?」とか「2006年に劇場で鑑賞した作品のなかに、これを超える駄作は無い」と散々に酷評し、これを観た直後にケイト・ベッキンセール主演の『アンダーワールド・エヴォリューション』を鑑賞し、そちらがヴァンパイアやゴシック・スリラー作品として非常に面白かった為に、余計に本作のつまらなさが際立ち、「もう、こんな思いしたくないから」という理由で数日後に公開されたボル監督の『アローン・イン・ザ・ダーク』を観に行かず、観に行かなかったのに、本作と二作綴りの構成だったパンフレットは持っているという珍しい事が起こったほど、当時の自分にとっては酷い作品でした。しかし、この頃は本作のようなタイプの作品を劇場で観る事が少なく、劇場で観た期待外れな作品も『アルマゲドン』や『トータル・フィアーズ』ぐらいしか無く、ハズレに出会う経験に乏しく、「日本で劇場公開されるのだから、海外でも公開されている」と認識して観ていた(本作は一応、海外でも公開され、ラジー賞では“氷の微笑2”と競い合った奇跡の作品)こともあり、勉強不足だった影響は大きく、この手の作品を観るのが当たり前になった今、見返すと、そんなに悪くなく、話や描写が面白いと思え、2008年の『ブラッドレイン2』、2012年の『ブラッドレイン-血塗られた第三帝国-(どちらも“DOA-デッド・オア・アライヴ-”のナターシャ・マルテに主演交代し、ローケンよりも役にハマっています)』を観てから、見直すと、より本作を楽しめるようになりました。
本作の魅力は出演者が豪華なところで、映画好きなら、驚くようなキャスティングと共演が実現している点と言えます。ミシェル・ロドリゲスとビリー・ゼインは、それぞれ、つい先日に『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』に抜かれるまで、全米の歴代興行成績ナンバー1だった『アヴァター』、『タイタニック』で重要な役を演じ(本作公開時の時点で“アヴァター”は製作されておらず、ミシェル・ロドリゲスも“引っ張りだこ”な感じではありませんが)、ジェームズ・キャメロン監督は関わらなかったけれども、その産みの親でもある『ターミネーター』の第三弾でブレイクしたクリスタナ・ローケンが主演しているので、ある意味、“キャメロン組”という共通点(そういえば、ラジー賞を競い合った“氷の微笑2”は“ターミネーター2&3”のプロデューサーだったマリオ・F・カサールの作品でしたね)があり、マイケル・マドセンとベン・キングズレーは『スピーシーズ-種の起源-』以来の共演を果たし、あのチャールズ・チャップリンを父に持ちながら、大女優でもあるジェラルディン・チャップリン(“氷の微笑2”には名女優のシャーロット・ランプリングが出ていました。この年のラジー賞に絡んだ作品は何て共通点が多いのか)、どんな規模の役柄でも常に印象的に演じきるウド・キアーなど、この手の作品としては非常に珍しく、初鑑賞から、10年が経過した現在でも「ボル作品で、こんな豪華さは滅多に無いんじゃないかな」と思いながら、ビックリできます(振り返ると、“デス・リベンジ”でジェイソン・ステイサムやリリー・ソビエスキー等を起用しているので、ボル作品は豪華な出演者を揃えやすいのかもしれませんね)。
ヴァンパイアを題材にした作品はゾンビ映画と同様に、あらゆるパターンが通用し、近年は現代を舞台にしたり、近未来に設定されている事が多く、それが当たり前になったからこそ、本作で18世紀に設定した事で、何処か新鮮に見え、ヴァイオレンスやエロス要素(ローケンとマシュー・デイヴィスの濡れ場は衝撃的でした)を除けば、古典的な作りをしていて、本当のお城などで撮影されたのが、世界観に活かされていて、ボル監督の力業とも言える少々、強引な演出と合致しているのも良いところだと思います。本作の基となったゲームを知らないので、「ここが違う」といった感じの比較などをせずに観ていて、今後もゲームについては知る機会は無いと思いますが、古典的なヴァンパイア・スリラーとしての空気感も素晴らしく、『吸血鬼ノスフェラトゥ』や『ダリオ・アルジェントのドラキュラ』等と併せて観ても、きっと楽しめるのではないでしょうか。
公開当時の印象は最悪でも、暫く経ってから、その印象が良くなるというのは珍しく、クリスタナ・ローケンは『ターミネーター3』のT-Xや『エネミー・フォース-限界空域-』の客室乗務員役を除き、良い役に恵まれず、2015年のカザフスタン産スリラーの『ザ・ファントム』でも同じだったので、それに比べると、本作のレイン役は身長と体格の良さを活かした、ローケンの別の意味での当たり役なんだと思えます。ダメな点は多い作品ですが、悪いものではなく(本作より酷い作品は多いです)、このダメダメさが味を出していて、これも最高な作品と言えます。ランクではC級に当てはまりますが、最もB級に近いC級で、ウケる人は限られるのは間違いありませんが、嫌いになれない一作です。
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