「劇中、「なにこれ?!」とか「なんなんだ、これは」という台詞があったけど、それ言いたいのはこっちだ!」水霊 ミズチ kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
劇中、「なにこれ?!」とか「なんなんだ、これは」という台詞があったけど、それ言いたいのはこっちだ!
それを飲んでしまうと、異常なまでにのどが渇き、幻覚があらわれ、最終的には自分の目玉をくり抜いて死んでしまう・・・などと書いてしまうと、背筋も凍りついてしまうような驚愕のホラー映画を想像するが、ちょっとしたサスペンスでしかなかった。活字にしてしまうと、井戸水が飲めなくなるほどの恐怖に襲われ、ミネラルウォーターを買い占めておかなくてはという強迫観念もわきでてしまうのかもしれない。たぶん、原作は面白いのであろう・・・
井川遥はとてもいい演技。だから余計に痛い。その演技を試されるような絶叫シーンもないし、幻覚によって狂ってしまうほどの演技もない。井川遥を見たいのだったら『純情きらり』を見ていればいいのです。あぁ、もったいない。役者の中で唯一光っていたのは山崎真実。のどが渇いて水をいっぱい飲んでいた。「糖尿病じゃないの?」などと気の利いたことを言う人だっていない。こうして怖さも面白さもない映画だったけど、彼女の演技だけはしばらく残りそうです。
序盤から面白そうなネタばかり。人物設定なんかは『リング』に似てるなぁ~と思いつつ、東京都西部に中規模地震が多発、土砂崩れによって遺跡が発見されたといった、古代史や宗教といった奥の深い話になるのかと興味津々。井川遥の元夫(渡部篤郎)が記憶を失う辺りでアルツハイマーなのかと思わせておくなど、伏線も期待したのです。また、水の科学や『仄暗い~』のような内容になるのかと期待してしまうのですが・・・全て裏切られます。
面白い結末にしようとして、赤ん坊は実はとっくに死んでしまっていたとか、井川遥もとっくに発病していたとか、そんなオチなんて面白くありません。それよりも、生体解剖とかのムチャクチャな内容をなおざりにしておいて、「現在の自・殺者はみな水のせいだ」とでも言いたいようなストーリーにうんざりでした。で、遺跡はどうなったんだ・・・
【2006年6月映画館にて】