劇場公開日 2006年6月17日

「Aadd9-E-Bm7-Dadd9♪」タイヨウのうた kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0Aadd9-E-Bm7-Dadd9♪

2019年4月18日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会、映画館

泣ける

萌える

 この出だしのコードがとても心地よい。しかもAadd9にしなければ、雨音薫(シンガーソングライターYUI)による透明感溢れる歌声にマッチしないのです。ストロークの気だるさからも察することができるように、ギターの腕前はそれほど上手いとは思えないのですが、絶妙なアクセントを含んだコード進行からしても作曲は天才的。気持ちがいいほど余韻たっぷりに涙を誘う映画でした。しかも試写会帰りに車でFMを聴いていると偶然にも「good-bye days」が流れるものだから、感動のあまりこっそりとボリュームを上げすぎてしまいました・・・ごめんなさい。

 泣けるかどうかなんて音楽好きの者にとっては愚問です。横浜でのストリートライブのシーンでもう涙腺決壊ですよ。『スウィングガールズ』でいきなり仲間が楽器を買って参加したりするシーンや、古くは『ベニイ・グッドマン物語』でライオネル・ハンプトンが突如セッションに加わるのと同じ効果なのです。理屈抜きで音楽心を動かされ、慟哭にも似た叫び声を心の中で上げてしまいました。
 難病もの、純愛もの、プロモーションビデオもの、等々とベタすぎると一蹴することは簡単なのですが、10代の頃にギターを手にした経験のある人ならばわかるはず。Fのコードが難しいとつまずいたあの頃を思い出すに違いありません。とは言っても、彼女は五線譜に音符や歌詞を書き留めることをしない天才肌のミュージシャンですから、素直に歌声に聞き入るだけでも満足できることでしょう。

 映画そのものは、音楽映画にしては間がありすぎる点や斬新さがないといったマイナス部分もありますが、まだ25歳の監督ということなのでこれからも十分期待できる人なんでしょうね。役者としては主人公二人よりも岸谷五朗がとても良かった。逆に麻木久仁子はバラエティ番組の司会者に戻ってもらいたいくらいでした・・・

 雨音薫の病気は色素性乾皮症(XP)。治療法も確立していないのに難病指定されていないそうです。この映画がヒットすることによって、難病指定への運動が起こったりすると、映画の力を感じることができると思うのですが・・・また泣いてしまいそうです・・・

kossy