バルトの楽園(がくえん)のレビュー・感想・評価
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人種ではなく人格
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東映と揉めたらしいが実質、直木賞「二つの山河」(中村 彰彦)の映画化であろう、本は短編故、掘り下げられなかった人物像も映画では丁寧に描いて収容所での日独文化交流、第九初演の秘話を今に伝えています。
近代日本は、軍事、法制、医学を始めとする多くの分野においてドイツを手本としてきた下地もあったのだろうが松江豊寿という人物がいなければ到底不可能であったろう。また福島、四国と言う郷土文化が色濃く説得力を添えている。松江所長は維新で苦汁を舐めた会津藩士の末裔であり、四国には「お接待」という無償でお遍路さんにお菓子や飲み物などを施す文化が根付いています。殺し合った敵同士が理解を深め同じ日本人同士が反目する構図は人種ではなく人格の違いであり知性、理性の重みであることが読み取れます。出目昌伸監督渾身の秀作でした。
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