幸せパズルのレビュー・感想・評価
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【平凡な主婦が、ジグソーパズルの魅力に惹かれ、家族の間に漣を立てつつも、新たなる自分を見つけていく過程を静的なトーンで描いた作品。】
■専業主婦のマリアは家族と幸せな人生を送ってきたが、どこか物足りなさを感じていた。
50歳の誕生日にジグソーパズルをプレゼントされて夢中になった彼女は、パズル大会の常連出場者・ロベルトにその才能を見込まれ、一緒に世界大会を目指すことになる。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・全体的に抑制したトーンで物語は描かれるのが、印象的である。
・マリアのジグソーパズルのペアになった裕福なのロベルトに対し、徐々に心惹かれていくマリアは夫フアンから”最近、綺麗になった。”と言われ、少し複雑な表情になるシーン。
ー マリアがロベルトに対する気持ちとフアンを大切に思う心と、板挟みになっていく。-
・マリアとロベルトのペアは地方大会で優勝し、ドイツでの本選に出場が決まるのであるが、マリアはロベルトにドイツへ行くことを断り、旅券を箱にしまうのである。
<今作はジグソーパズルを題材とした珍しい映画であるが、一人のパズルの楽しさに目覚めた主婦が、家族か、ペアの素敵な男性を選ぶのかを抑制したトーンで描いた作品である。>
起承転結…というわけではないけれど…
平凡な主婦ってのが正しいか分からないが、家族に生き甲斐を見出す人は...
平凡な日常を変えてくれるパズル
日常生活を繊細に描いています
ちょっとかったるいのが玉に瑕
自分の誕生日に集まった人たちの料理を作り、自分で作ったケーキの蝋燭を消し、ロクに楽しめないままキッチンには汚れた食器の山が残る。
そんなマリアが、何もしなくても紅茶が出され、紅茶片手に好きなことに没頭できるロベルトとの時間は夢のようだったに違いない。
夫に秘密を持つことへの後ろめたさと、ひとりの女として自立する悦びとのせめぎ合いを、マリア・オネットが地味ながらしっとり演じる。
ロベルトへの淡い恋心をシャワーで描くあたりは、女性監督ならではの演出だ。
本筋から逸れると、新品なのに古ぼけたようなパッケージのジグソーパズルが並ぶ売り場や、電話屋のロクトリオというサービス業の店など、ヨーロッパ映画を観る楽しみがある。
さて、夫(家族)とロベルトを天秤に掛けてしまうマリアだが、
母から受け継いだマリアの料理に見向きもしない次男の彼女。最近は、その次男も感化されてマリアの手料理を食べようとしない。
夫は夫で、マリアが没頭できるものを時間の無駄だと言って理解しない。
ロベルトに流れる気持ちを捉えつつ、まだ30代の女性監督は、夫の元を羽ばたく勇気をマリアに与えるのか? それとも・・・。 このあたりは、アルゼンチンのお国柄を反映しているのかも知れない。
ひとりピクニックに出掛けたマリア。林檎を囓る姿は、平穏な楽園で見つけてしまった禁断の実を貪っているのか、それともあの笑みは毒林檎の味を知ってしまった女の微笑みか?
いやいや、それは思いすごしで、ひとりで出掛けるということ自体が精一杯の自己主張なのかも知れない。
いずれにしても、夫の言いなりになってきた日々から脱皮したことは間違いない。
結果的にひとりの女性が“自分”を発見する作品で、ドイツで開催されるパズルの世界大会に期待して観てしまったのが悪かった。
もうひとつ、動きすぎて焦点が定まらないカメラが気になるのと、ロケーションに変化がなく90分という時間がやたら長く感じた。
パズルに向かうときの音楽は効果的で印象に残る。
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