琉神マブヤー THE MOVIE 七つのマブイ : インタビュー
山田親太朗×ISSA×ゴリが訴える「ゆいまーる」の心
2008年秋の放送開始以来、ご当地・沖縄では知らぬ者がいないというほどの人気を集めたヒーロー番組「琉神マブヤー」。“ちむぐくる(思いやり)”と許しの心をもって戦うヒーローは大ブレイクを果たし、沖縄では「1歳の子でもパパ、ママ、マブヤーは話せる」と言われるほどの知名度を誇った。待望の劇場版となる「琉神マブヤー THE MOVIE 七つのマブイ」が沖縄では昨年10月末から先行公開され大ヒットを記録。その勢いを駆って2012年の年明け早々、本土上陸を果たす。全国公開を前に、劇場版でマブヤーに変身する主人公ウルマを演じた山田親太朗、相棒の龍神ガナシーに変身するサイオン役のISSA、そして敵方のマジムン軍団を率いるハブデービルに扮したゴリ(ガレッジセール)に話を聞いた。
テレビ版とは主要キャストを一新して製作された本作。劇場版でいきなり主演を務めることになった山田は、故郷・沖縄への強い思いをにじませつつ、今回の出演について「テレビシリーズがあったからこそこうして映画になったわけで、そこでキャストが変わっても『映画もいいね』と言ってもらわないと意味がない。そういう意味でプレッシャーはありました」と述懐する。
実は、テレビ版でマブヤーを演じた俳優・翁長大輔は、山田の小学校時代の同級生。「映画に出ることが決まったとき(翁長から)『沖縄ではおれがやるから、全国はお前に頼むな』と言われたんです」とヒーローを受け継ぐことの“重み”を明かす。
マブヤーの大ファンで出演を熱望していたというISSAは、「『仮面ライダー』を見て育って、小さいころからヒーローへのあこがれがあったので、30年越しの夢がかなった気持ち。『好き』というひと言では言い表せない、沖縄への思いを全て出し切ったつもりです」と故郷を舞台にした作品で念願のヒーローとして参加できたことに感無量の面持ちだ。
「ヒールは男のあこがれ。一番やりたかった役」とうれしそうに明かしたゴリは、改めて沖縄出身者として今作に出演することの意味を語る。
「沖縄県民にとっては『男はつらいよ』に出るようなものですからね。みなさんが作り上げたステージに、東京で仕事している僕らが入れていただけるというのは本当にありがたいことだし、故郷に錦を飾るような誉れなこと。喜び、喜び、喜び、自慢、自慢、自慢、それ以外にないです」。
「(共演者は)みんな昔から知っている人たちだから、ギクシャクするようなことは全くなくて、来た瞬間に『飲みに行こう』ってなった」と山田が明かすように、とにかく現場は明るかったという。特に山田、ISSA、ゴリの3人は「実は同じシーンは決して多くなくて、撮影ではあまり絡んでないのに毎晩、飲みで絡んでいた」(ゴリ)というほど仲が良い。
3人の関係性について、ISSAは「親太朗は天然で、ゴリさんに『あれやって、これやって』と無理難題を言う。ゴリさんは兄貴的な感じでそれに一生懸命応えて、おれがそれを横で見て楽しんでいる(笑)」と解説する。
山田が「天然じゃないですよ。普通の大人です」とほほを膨らませて抗議しても、「認識していないからタチが悪い」と2人は却下。さらにゴリの口からは、山田の天然ぶりについて「昔、具志堅用高さんが『座右の銘は?』と聞かれて、『左右の目』と勘違いして『2.0だ』って答えた伝説がありますが、それに近い。親太朗においしい沖縄そばの店を聞いたら『僕の家から右の方に上っていったところにあります』ってお前の家知らないよ! そうしたら『那覇市です』って言うから、『お前バカだろ?』って言ったら、『違います。僕だって信念持って生きてるんですから』って。『じゃあ、お前の座右の銘は?』って聞いたら、本当に『えっ? 1.5ですけど』って返してきた(笑)。第二の具志堅用高だって思いましたね……」とあきれたような表情でしみじみと明かした。
沖縄から全国へと飛び出すことになるが、ISSAは「誇りに思います」と胸を張り「敵と味方に分かれても、それはそれぞれの思いの違いであって『大切なものを守る』という気持ちは同じ。そういう意味で沖縄のためにひとつになる姿は、いまこそひとつになる時だという強いメッセージになると思う」と映画に込められた思いを語る。
ゴリもISSAの言葉に同調し、「沖縄方言で言う“ゆいまーる(助け合い)”の心というのは、2012年も日本が大切にしていかないといけないもの。ゆいまーるの精神が詰まったこの映画を見て、自分以外の人のために時間を使ってみようという気持ちになる人が増えてくれたらうれしい」と訴えた。