スーパー!のレビュー・感想・評価
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気楽に観る
泣ける、笑える、楽しい(幸せ)
行き過ぎた邪道は王道になる
冒頭の悪趣味な残虐アニメもさることながら、触手の淫獣の登場や、『JUNO』でアカデミー賞にノミネートされたエレン・ペイジにヒーロー狂いの非常識な相棒を演じさせ、果てはコスプレ姿でオナニーまでさせてしまうなど、この映画、下品さには終始事欠かない。しかしこの映画は、話題になった同じくセルフメイドのヒーローを扱った『キック・アス』に下品さを添加しただけの(キック・アスも十分下劣だったが)二番煎じ作品というわけでは決してない。それどころか、紆余曲折を繰り返したものが逆にまっすぐになる、映画『スーパー!』は悪趣味なコメディが、巡り巡ってヒーロー物の真理を突いたような作品なのである。
バットマンやウォッチメンなど、多くのアメコミ作品が正義とはヒーローとは何かという自問をし続けてきた。もちろん、そのすべてを網羅しているわけではないが、多くのその問いが、更なる疑問を投げかけるだけで終わる一方で、この『スーパー!』は実に完結した答えを提示してくれている。主人公・クリムゾンボルトが悪者を成敗するシーンは、武器にスパナを使用するなど後味が悪く、叩きのめされる悪人は最初の方こそはヤクの売人等だったのだが、次第にエスカレートして、列の割り込みや伝聞で車に傷をつけたというだけの人間であっても、クリムゾンボルトと相棒のボルティーはこれまたスパナでぶちのめしていってしまう。そしてそんな狂った主人公にケヴィン・ベーコン扮する、売人の元締めが言い放つのである。
「お前と俺の何が違うってんだ、お前もイカレてんだぜ!」
確かにそうなのだろう、いや、そもそも人はいくつもある狂気の中から正気を選び身につけて、そして一方で狂気を選んで排除し、それを正義や悪と名付けているだけなのだ。しかしそれを、すべてを承知の上で選びとった主人公のなけなしの「正義」は反論できないほどに誠実で真実だった。
いかなる正義も、どう後付けして如何に自分を救うか、その作業でしかない。それを人の弱さであると空しく思うのか、それとも人の強さであると頼もしく思うのか。冒頭で主人公が下手な絵で部屋に飾る「人生で最高の瞬間」は、うだつの上がらない中年男の自慰行為などではなく、我々が選択しうる最低限の正義なのである。納得のラストはそれに気づかせてくれることだろう。
アメコミの皮かぶって人間の根源を問いかける
主人公のフランクは大柄なうすのろ。ウジウジした性格で、人生によかった瞬間はたったの2回という中年男。美人の奥さんはいるけど、映画開始直後、イケメンの麻薬ディーラーの元に行ってしまう。まったく救いがない。
悲嘆に暮れるあまり幻想を見たフランクは、コスプレして街に繰り出し、「クリムゾンボルト」として重いレンチで悪党を叩きのめすのだった。
導入としては映画『キック・アス』にとっても近い。
ただ、共感のしにくさでいうと『スーパー!』は『キック・アス』をしのぐ。
あっちの主人公デイブは「ヲタク」「ケンカに弱い」「女にモテない」の三拍子だったけど、こっちは「うすのろ」「ネガティブ」「モテない」の三拍子に加え、中年男子というところがかなりキテる。
どの層にも共感しがたい年齢設定とキャラクター付けは、この映画が本気でアメコミをえぐろうとしているのがわかる。
行き場のない感情を信仰と妄想に求め、どういうわけだかコスプレ自警団を気取るわけだけど、そのことごとくがリアルで観客がやったら同じことになるだろうなということのオンパレード。
事件に巻き込まれて困っている人なんてそうそういないし、路上でケンカするとなればコスプレなんて邪魔なだけだし、マスコミからは仮装した暴漢扱いされる。
そもそも路上で何か困ってる人を助けるのに、暴力なんか必要ない。当人は善行を施した気になっていても、実は結構なギャップがあったりというのは観ていて痛々しい。
列への割り込みは確かに悪いこと。でも、血が流れるほど殴る必要があるか? 世界の警察を気取るアメリカ様は、各地で首を突っ込んでは象とアリの戦いを展開しているけど、フランクがやっているのも同様。過剰な制裁はげにグロテスクなりしかな。
アメコミでなくとも、アクション映画観てヒーローにあこがれた人なら、誰でも後ろめたいような気分にさせられるんじゃなかろうか。「実際にやったらそうなっちゃうよね」と。
また誰もが一歩踏み出せないことに、それでも前に進んだ人がいたりすると熱狂的なフォロワーが生まれたりするもの。
それが本作では「ボルティー」ことリビー少女なのだけど、こっちもかなりブッ飛んでる。
フランクが巷をにぎわせるクリムゾンボルトと見破るなり相棒に名乗りを上げ、迷惑気味のフランクをせっついて路上活動に。すると当のクリムゾンボルト以上に制裁を加えるという有様。
どこの世界にいっても共通するのだと思うけど、自分は最前線に立たないでいて、でも実は先頭に立った人より熱狂してる。
だったら自分が前に出ればいいのに、それはしないで「自分は補佐役だから」と安全圏に身をおいてる。そういうのって学校や職場で誰しもが経験してることじゃなかろうか。
もし経験してるなら、このボルティーを見て、「美少女の押しかけ相棒なんて最高ジャン!」などとはいえないだろう。
映像でも流血や肉体損傷があったりするのだけど、そういうビジュアルなグロさはむしろ極力セーブしようという気遣いがあちこちに。
ポスターなんかもクレヨン画風のイラストが挿入されていて、これは邪魔っけにも見える一方、これがないとどこまでも陰惨になっていく映像を救っているのだと思う。
『スーパー!』が強調したかったのは、映像によるグロさではなく、もっと内面にくるグロさ。子どものころに教わった「悪いことしちゃいけません」は、しかし現実世界にいっぱいあふれている。その狂気とどう向き合っていくか。
望んで出て行った(とはいっても麻薬が原因ではあると思うけど)妻を取り戻すのに、結局は暴力という手段しかなくて、でも暴力で反撃されて、血を流した先にたどり着く先に何を見るか。
ちっとも大仰な形ではなく、とっても身に迫った形で問いかけられるフランクとのやり取り。こんなこと言われたら「だから暴力はダメだよね」などと軽々しくいえようか。
映画では一応、フランクの身にも平穏が訪れたようだけど、果たしてどうなのか。
実は劇中、「ページとページの間」という表現があって、コミックが描かない現実を突きつけた。
ならば『スーパー!』のエンディングの向こうには、フランクにとってロクでもない結末が待っているような気がしてならない。
もしエンディングそのままに受け止められる人がいたら、それは本当にお花畑な人だな、と思う。
では評価。
キャスティング:7(ボルティー演じたエレン・ペイジ最高! フランクの狂気に輪をかけてる)
ストーリー:8(アメコミをモチーフに、こんなに居心地悪いシナリオをありがとう)
映像:6(随所にアニメを持ち込んでチープに見せてくれたのが本当にチープに見えたりする。本文にあるとおり効果はわかっちゃいるけれど、というやつです)
狂気:9(コミックのヒーローに扮した中年おやじをリアルに描いたら、本当に醜悪なものが見えました)
暴力:8(物的な破壊というより、そこに込められた思いに圧倒)
というわけで総合評価は50満点中38点。
モヤモヤした気持ちを引きずっても人生の何たるかを考えたい人にはオススメ。
一見するとダサい映画に、自分の身につまされる何かを刺激されてもかまわないという勇気を持った人には超オススメ。
「キック・アス」より濃ゆい!傑作!
「キック・アス」がクロエ・モレッツのアクションを中心にした完全娯楽作ならこの「スーパー!」はオッサンの暴力をテーマにした完全問題作。神の掲示を受け自分の正義を信じヒーローとして活動し始めるフランクだが、それは戦いではなく一方的な暴力。強盗”未遂”やドラッグ売買”らしい”人物を見つけては不意打ちで頭をカチ割り半殺しにする。そして次第にその行為はエスカレートしていき、列への割り込みや車へのいたずらですら”悪”としてレンチでぶん殴るように・・・。
ヒット・ガールが悪党どもをバッサバッサと切り倒すシーンには爽快感と疾走感があふれていたけれど、このクリムゾンボルトのそれには不快感と気持ち悪さしかない。エレン・ペイジ演じる狂った相棒・ボルティーが仲間に加わってからは、それがさらに増大し、悪党をズタボロにし歓喜する姿はまさに「悪」そのもの。しかしその気持ち悪さこそこの映画のキモだと思う。
※長すぎるのでブログから一文抜粋(全文はブログにて11/6公開)
「まんざらでもない」
ぬぅ‥どうしても‥●キックアス●と比べちゃう‥(・ω・)ノ
こりゃおバカだ‥
‥基本はおバカムービーだ└|∵|┐♪┌|∵|┘
脚本はともかく‥
演出も何も有ったモンぢゃない~ヽ('ー`)ノ~
おバカな主人公がただただ‥破壊と殺戮を繰り返す‥
(一応自分なりの正義は持ってる‥らしい‥)
でも‥
おバカムービーと割り切れない⇒真っ直ぐさ/も有るo(^o^)o
アメリカだ‥
‥これはただただアメリカのおバカだ~ヽ('ー`)ノ~?
☆評は‥
DVD100円水準にて‥(^-^)
DVD買う度⇒②★★
モ、1回見たい度⇒③☆☆☆(グロいです)
オススメ度⇒⑤♪♪♪♪♪
デートで見る度⇒①◎
観る相方o(^o^)o】男子の一人見をオススメ~ヽ('ー`)ノ~
◇ケビンベーコンもさすが‥
◇リブタイラーも素敵‥
◇Eペイジがかわいい(*^_^*)
〜〜〜〜〜
似て非なるモノだが‥
似過ぎてるヽ('ー'#)/‥●キックアス‥
俺は‥
本作のEペイジ(●インセプションも●ローラーガールズダイアリーも♪)が大好きだが‥
●キックアスの方の‥CGモレッツちゃんのが好きだ(*^_^*)♪
何もできない中年男のブチ切れ願望
お手製のコスチュームでヒーローに変身!といえば「キック・アス」を思い出すが、向こうは少年で、動機も割りと純粋な正義感だ。それに比べ、今作のヒーロー「クリムゾンボルト」のフランクは、逃げられた女房を取り戻したいという中年で動機が冴えない。
変身というのは“天に変わって”正義を貫くとか、そういう意味の象徴なのだが、フランクの場合は自信がなくて何も出来ない自分に力を与えてくれるものとしてコスチュームがある。コスチュームそのものが“天の力”であり、コスチュームを着けないと何も出来ないのだ。
そんな情けない中年男に妙な力を注ぎ込むのがエレン・ペイジ演じるリビーだ。彼女の場合は、完全にぶっ飛んでいて、コスチュームさえ着けていたら何をしても許されるみたいなところがある。
自ら相棒ボルティーを志願し、まだ良識の残っている中年男を翻弄していくところが笑える。
だが、クリムゾンボルトにとってボルティーは真の仲間なのだろうか? クリムゾンボルトをけしかけるボルティーの声が“悪魔の囁き”に聞こえてならない。
悪への報復はどんどんエスカレートし、残忍な中にも美を追求する「キック・アス」とは一線を画した本能丸出しの残虐性を見せ始める。
悪いヤツに、そこまでやったら気持ちいいだろうなと思うぐらい徹底している。だが、天が一人の人間にそんな力を与えるわけもなく、その代償はしっかり持って行かれる。
この映画、他人のちょっとした理不尽な行動に腹を立てながらも我慢する、そんな日常のストレスを発散させてくれるが、普段から勇気ある行動を取っていないとツケが回ってくるという黒い罠が、ブラックジョークという名の下にあちこちに潜んでいる。
ラストのちょっとほろ苦い結末も現実的で、私は好きです。
生身の普通の人がヒーロー・コスチュームを着て、街の悪党を退治する…「キックアス」と、もろ被る映画だけど、スーパーヒーローに憧れる日常ではだめな人間の物語は、昔からあったようで、あの「バッドマン」も格闘術と超兵器を駆使するが悪を憎む正義感の強い生身の人間だ。
本作が「キックアス」と違うのは、あっちは若い二人の青春物語的なところがあったのに対し、こちらは妻にも逃げられたうだつの上がらない中年男にぶっ飛んでるアメコミ好きの女の子が絡む展開。
「キックアス」ではビッグダディとヒットガール親子の反則的な強さが痛快さを呼ぶわけだけ、こちらの主役フランクが扮する赤いコスチュームのクリムトンボルトは気弱で腕っぷしもだめ。
それを補うため武器を手にするだが、ときにそれが凶器にもなって、正義の味方ではなく犯罪者扱いされたり、暗く後味の悪さを残す。でも、そのまぬけさとヘタレぶりで笑わせてくれる。
対決する相手も用心棒を従えるほんまものの麻薬の売人なのだから、分が悪すぎるし、やはり悲惨なことにもなってしまう。
ラストのちょっとほろ苦い結末も現実的で、私は好きです。
ひいちゃった
#8
シャラップ!クライム!
いっやあ~…ヤバイッスね、これw
評判に違わぬ相当なキレっ振り!!!!イタさ爆発!!!!
ええええ?そう来ましたかあ!!??というww
だってこれ、正義のスーパーヒーロー夢見ただけの、気ぃ触れた(に近い状態の)男が勝手な判断基準で悪(らしい人物)に制裁加える、自警団気取りの物語ですからねw
「特殊能力は持たないけど、ただヒーローに憧れる!」という設定は『キック・アス』に近いものがありますけど、コレには青春要素もファンタジー要素も皆無。
怒りを込めて、ひたすら過激に!ひたすら暴力的に!善の行使!
鈍器でメッタ打ち!理性もあまり介入せず!というw
つまり、この映画は“ヒーロー像の新たな在り方”を提示しているのでしょうかね??公共での(俺的判断の)不実は暴力で制裁せよ!というww
まあいいや。そして、この映画最大の功績は、何といってもエレン・ペイジでしょうねぇ。
頭のネジが一本外れたナチュラルハイのイタめな相棒役という。
…もう、彼女が加わると余計にクレイジーw
収集つかずの流血と屍の山w
で、散々暴れた挙句です。
繊細で、且つ切なくも美しい問いを我々観客に投げ掛ける訳ですよ。
一体、何が正しいのだろう?
何が悪であろうか?
何を心の拠り所にしよう?
心の平穏はどこに?
それらを包括したラスト。そこに持っていく狡猾さw
何故かしみじみと最後を迎えてしまう。
途中あんだけゲラゲラ笑わせといてw
ふぅ~。
なかなか、腹の膨れる(胃にもたれる?)内容の、稀有な映画でした。
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