田舎でも流行る都市伝説。“口裂け女”は1979年頃から広まった。「ワタシ、キレイ?」の問いにはどうやって答えるのが良いか?などと真剣に議論していた方々もいることだろう。そして、長い鋏を持ってるとか、出刃包丁を持っているとか、武器も様々でありますが、デマに対する反応は小中学生がもっとも顕著だったろうし、恐怖心を煽るための謎めいた設定は見事というほかない。その恐ろしい伝説をようやく一本の映画として作り上げたのはホラー映画ばかり撮っている白石晃士監督だ。
初めて聞いたとき、“口裂け女”が「ワタシ、キレイ?」という突然の質問をするという噂は疑問符がいっぱいだったのですが、映画ではこの台詞も含めて彼女に対する独自の解釈が見事なのです。なぜ児童ばかりを狙うのか・・・口裂け女は自分の子供に対する虐待を繰り返し、それが癖になってしまってる(?)。「ワタシ、キレイ」の台詞は・・・ちょっとした聞き間違いであり、彼女が正常な心を取り戻す唯一の瞬間だった。さらに、何度でも生き返る(憑依する)という設定が加わり、子供を持つマスクをしている女性に憑くという性質があるようでした。咳をすると憑かれてしまうんですよ・・・
憑依するという設定のおかげで驚かされ、とにかく怖いシーンの連発です。母親が子供を守ろうとしても防ぎようがありません。なにしろ、自分が咳をしたばっかりに乗り移られるのですから。そして、残忍さも半端じゃない。長い鋏でチョキチョキ、グサッとやってしまいます。
懐かしさや斬新さによって面白い映画ではあったのですが、如何せん脚本の細かい部分が良くなかったし、サトエリの演技がイマイチでした。人を刺し殺してしまったのに動揺もせず、教師という立場も忘れて、警察へも報告しない。度胸もあるようなのに、いざとなったら逃げることも忘れている。それ以前に教師に向いてないとも思われる(キューティハニーに変身すればいいのに)・・・加藤晴彦と水野美紀の演技のおかげでなんとかまとまっていたようです。
【2007年3月映画館にて】