「匠の技」ミッション:8ミニッツ かみぃさんの映画レビュー(感想・評価)
匠の技
拙ブログより抜粋で。
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監督のストーリーテリングが巧みで、表面的な派手さはそれほどでもない上に、微妙な状況の違いだけで展開されていく話にも関わらず、観客の興味をぐいぐい引っ張る。8分間の同じシチュエーションの繰り返しの中で変わっていく登場人物の心情が、この先に起こる何かを期待させてわくわくさせるの。
ただ、ここに描かれているサイエンス・フィクションの題材に対する耐性がないと少々難解に感じるかもって気がする。
映画的にややこしいのは、この装置を作ったラトレッジ博士(ジェフリー・ライト)自身がこの装置の真の力をわかっていなかったために、博士の説明と映画が行き着く結果とに矛盾が生じてしまっている点。博士の言葉を鵜呑みにしたままでいると、終盤の展開に混乱するんじゃないかな。
ネタバレしない範囲でひとつだけ懸念する点を書いとくと、あのラストは“夢オチ”じゃないですから。さすがにそこで勘違いする人はいないか。
勘のいいSF好きなら具体的に書かなくても何を題材にしてるかわかってしまうと思うんだけど、一歩間違うと何でもありの世界観ですよ。
で、下手な監督がこれに手を出すと、ぐだぐだになってしらけるんだけど、ダンカン監督は違った。
小難しい話はざっくりはしょって、さらっと哲学的なセリフを交えて人生論的な示唆を提示しつつ、SF的にニヤリとさせる決着をつけてきれいに終わる。若いのに早くも貫禄を感じさせる匠の技だわ。
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全文は『未完の映画評』にて。
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