「「サラの鍵」でダイジェスト化した部分を補填しているかのような印象が…」黄色い星の子供たち KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
「サラの鍵」でダイジェスト化した部分を補填しているかのような印象が…
第二次大戦中のユダヤ人の悲劇に触れた映画
を紹介している書籍に
この作品のことがあり、
その中で扱われている事件が、
私にとっての大感動作「サラの鍵」と
同じ背景の出来事と知って鑑賞した。
驚いたのは、この作品は、
一部のユダヤ人が医師の手配で
冬季競輪場から脱出するエピソード、
また、収容所での母親と子供の引き離し、
更には、子供が収容施設から脱出するシーン
等々、
何か、「サラの鍵」でダイジェスト化した部分
を補填しているかのような印象を受けた。
また、ほぼ全編、淡々と事実に沿った
悲惨な状況を描いていた印象もあったが、
ラストシーンでは
史実から少し離れたかのような
“…子供たち”の邦画タイトルに相応しい
エピソードに涙を誘われた。
しかし、その史実への踏襲が勝ち過ぎ、
ただただ悲惨な事実描写に徹した演出の分、
「サラの鍵」のように、
二人の主人公の思索に心寄せられたり、
追い求めた女性の同じ名前を
自分の娘に命名するという、
何度観ても号泣させられる
“希望のラストシーン”には及ばなかった
かも知れない。
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