「映画もお風呂も温いぐらいが丁度いいのかもしれない」テルマエ・ロマエ 全竜さんの映画レビュー(感想・評価)
映画もお風呂も温いぐらいが丁度いいのかもしれない
元々、原作のファンなので、荒唐無稽な世界観をすんなり受容でき、楽しめたが、一般の映画好きに勧めるには躊躇する代物かもしれない。
何せ、『スパルタカス』に『時間ですよ』を足して、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を掛けたようなワン&オンリー全開の爆裂物語を真剣に評価しろってぇ了見自体バカバカしい事である。
『鷹の爪』でお馴染み蛙男商会がフザケ過ぎて創ったノリに嫌悪した深夜アニメに対し、今回の実写版は、逆に真面目に創り過ぎた印象を受けた。
原作は4巻の温泉宿奮闘編までは、ほぼ一話完結なので、ヒロインの上戸彩がバスルームのディスプレイや銭湯etc.全ての水回りを一挙に引き受けるキャラは、可愛らしいけど、やや都合が良過ぎな感有り。
カルチャーギャップギャグの畳み掛けを活かしつつ、ローマ史に忠実であったり、核である互いの時代のワープに対する謎にも映画独自の結論付けがされており、説得力を添えて、丁寧にまと上げる手法は高く評価すべきと思う。
一方、ワガママな原作ファンとしては、素材のイリュージョンをもっと引き出して遊んで欲しかった趣も否めない。
故に、力作にも関わらず、妙に味わいに、ぬるさを感じてしまう。
阿部寛のリアクションの上手さや、市村正親を筆頭にやたら顔の濃い日本俳優陣で固めたキャスティング力にかなり助けられたと云える。
まあ、温泉は、ぬる目が快適やから、気楽に今作に浸かるのが一番なのかもしれませんな。
要は原作にはかなわないってぇ事である。
では最後に短歌を一首
『時の路(みち) もがき湯当たり 熱きタネ イイ湯は1日 にして成らず也』
by全竜
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