「見せ場満載! 超デラックス版『忠臣蔵』 【追記】」47RONIN 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
見せ場満載! 超デラックス版『忠臣蔵』 【追記】
『忠臣蔵』が題材のハリウッド製ファンタジーアクション
だなんてねえ、そりゃもうネタ映画だろうと思われても
しょうがないですよねえ。予告編からしても怪しげな日本描写
バリバリだったしねえ。
こっちも期待3割不安7割くらいで観た訳です。
そしたら! これが! 予想以上に楽しい!
詰め込みすぎな感はあるけれど、ド派手なシーンがてんこ盛り。
個人的には今年観た大作アクション映画のなかでも特に満足度が
高かった部類に入る出来でした。
* * *
『忠臣蔵』のファンタジックすぎるアレンジ!
出島や雪原での対決! 天狗の試練!
そして終盤、討ち入りシーンの壮絶な大乱闘!
序盤とクライマックスなんて『モン○ターハンター』実写版
(太刀オンリー)みたいな巨大獣とのバトルに燃える燃える!
相変わらず世界観は日本じゃなくてアジアの色んな所を
ゴタ混ぜにしたようなストレンジワールドで、
ツッコミ所を指摘したらそれこそキリがないのだが、
ま、中途半端に近付けるくらいならこれくらいブッ飛んでた方が
あきらめもつくというか(爆)、完全にファンタジーものとして
観られるので良いんじゃなかろーかと思う。
実際、風景にスケール感は出ていたし、過剰なまでに
きらびやかな鎧や衣裳の数々も観ていて楽しかった。
* * *
もちろん本筋は赤穂浪士47人による仇討ちだが、
主人公として活躍するのはキアヌ・リーヴス演じるカイ。
主君そして姫君に心の底から忠誠を誓っていて、おまけに
メチャクチャ腕も立つのに、“鬼の子”という卑しい身分である為に
むごい仕打ちばかり受ける。怒りを抑え、主君とミカ姫の為に
死力を尽くす彼が“武士”として認められていくまでの流れが良い。
「武士の刀は二差しだ」
ある人物のそのセリフにはグッときた……あいつ、
ヤな野郎だったくせにオイシイとこ持ってくなぁ(笑)。
真田広之はさすが! 重厚な演技はもちろんのこと、
殺陣(たて)を初めとしたアクションは相も変わらず見事!
存在感もアクションセンスもある役者さんてホントに貴重。
討ち入り前の彼の演説には目頭が熱くなった。
忠義・恩義の為に己の命を賭ける――『忠臣蔵』がこれまで
語り継がれてきたのは、この熱さがあってこそだと思う。
柴咲コウもばっちりヒロインしてました。大きな目が可憐さと
芯の強さを感じさせる。キアヌとの身分違いの恋の結末も
泣かせます。海外でも人気出たりしてね。
* * *
けれどね、主に中盤の展開やサブキャラに関する描写が
駆け足すぎるのが残念。
○○が1年間幽閉されるシーンもあっという間だし、
もう少し四十七士のキャラ描写を盛り込んで欲しかったし、
(もちろん47人全員を描くなんてのはムリだが)
中盤のアクションシーンのいくつかについても、
どれもケレン味のある画作りですごく良いのに、短い。もっと観たい。
そうそう、浅野忠信演じる吉良の存在感も弱いなあ。
菊地凛子演じる妖女やシルバーサムライ様がインパクト強すぎて
ボスが小物になった感アリ。もっとこう、妖女も惚れる悪辣さとか
狡猾さを発揮するような見せ場があれば良かったのに。
そのせいで、クライマックスも大石vs吉良シーンより
カイvs妖女が完全に前面に出ちゃってる。
あと、カイと四十七士の関係については、四十七士があまり
よく描かれていない箇所もあったりするので、『忠臣蔵』に
思い入れが深い方々はこの辺りを不満に思うかもね。
* * *
や、申し訳ない、小言の多いのが自分の悪いクセです。
それら不満を含めても、大満足の4.0判定!
ツッコミ所は多いけど、楽しく熱いアクション映画。
個人的には同じく日本が舞台だった『ウルヴァリン SAMURAI』
よりアクションもストーリーもグッと見応えがありました。
最後に不満ではなく心配事をひとつ。
本作の製作費は1億7000万ドルとかなり高額。しかも監督は
劇場映画は初なので名も売れてないし、『ウルヴァリン』
のような人気シリーズでもないし、アメリカで
ネームバリューのあるスターはキアヌくらいのものだし……
エンタメとしては製作費を回収できるくらいに面白いと
思うのだが、マーケティング面ではかなり不利な映画な
気がするので、全米で大コケしないかが心配。
『パシフィック・リム』『ウルヴァリン SAMURAI』と
日本関連の映画がヒットしている今の流れで
ヒットしてくれたら嬉しいんだけどなあ。
がんばれ、宣伝部!(なにこの締め方)
〈2013.12.07鑑賞〉
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追記:
2013/12/27-29時点での全米BoxOfficeランキングで……
『47RONIN』、初登場9位……
この時点での全米興行収入の累計は……約2000万ドル……
これはもう……「ちょっと膝擦りむいちゃった」くらいのコケ方
じゃないっすね。近年稀に見る大黒星じゃないかしら……
そんなに悪い映画じゃないと思うんだけどなあ、無念……。
Gokiです。
超デラックス版『忠臣蔵』見て来ました!
お蔭さまで見て良かったです。
真田広之の「表情」のいいこと。
まぁでも評論家の評価が低いのは仕方がないでしょうねぇ。
「死」の美学とか、理解出来なくていいんです(苦笑)
アイ、フランケンとロボコップ見て来ました。
さて次は、、、レゴ?(笑)
お久しぶりです、Gokiです。
きびなご氏のレビューを読んでしまったのが運の尽き、
これは見に行かねば!(笑)
アイ・フランケンも近日中に見て来ます!