「定番王道の悲恋物語。」サンザシの樹の下で ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
定番王道の悲恋物語。
名画座にて。
1970年代初頭の文化大革命を背景に描いた男女の悲恋物語。
Z・イーモウらしさが戻ってきた文芸作品で古めかしく泥臭い、
彼のファンなら最近の超大作よりとても楽しめる作品である。
ただ物語の背景にある文革、これはあくまで背景に留まり、
彼らの悲恋の原因は別のところに存在する、今までの文革が
メインの作品の儚さを期待するとそうでもなかった展開に驚く。
この時代でなくてもおそらくこの物語は成立する話なのである。
貧しい都会の少女と農村のエリート青年。
どっちがいいか?なんて思える余裕すらなくこの時代、少女は
家計を助けるため何としても教員として学校に残らねばならない。
恋愛御法度。すべての行動が監視体制にあると母親に脅され、
農村実習先で出逢った青年との逢瀬もままならない。
が。けっこうこの青年はしつこく^^;何度でも^^;逢いに来る。
それだけ恵まれている(地質調査員というが)彼の生活事情が
明かされるにつれ、あまりの身分違いに少女は別れを決意する。
が。しつこいんだって~この彼は^^;ホント、松ケンなみに!(爆)
死ぬまでずっと君を待っている、なんて言われたらどうだろう。
ここまで自分を想ってくれる青年、かなり幼い恋愛感情しか
持てない少女にはあまりに衝撃的で重くのしかかってしまうが、
彼との逢瀬が楽しくてたまらない。そりゃそういう歳だものv
あぁ~なんとかこの時代が終わって、
やがてこの二人が結婚できたら…と祈るばかりになるのだが。
悲恋、というからには相応の結末が待っている。
ラストの青年の姿、あまりにリアルで(かなりの熱演)胸に迫る。
しかし大変申し訳ないが(こんな言い方して)
どう見ても原口あきまさとかフットボールアワーの後藤にしか
見えないショーン・ドウの笑顔と白い歯を観る度に複雑な気持に。
少女役のチョウ・ドンユイは第2のチャン・ツィイーを噂される
ほどの可愛らしさで(かなり幼く見えるが)人気が出そうな気配。
何度も彼を笑顔で振り返った「初恋のきた道」と同じような構図で、
今回の彼女は何度も彼を涙で振り返る。愛してる、には届かない
複雑で悲しげな瞳が何ともいえず胸に刺さる。
物語としてはかなり凡庸でアッサリしすぎた印象が残るが、
時代はどうあれ、こうして引き裂かれた二人は多いのだろう。
(しかしあの自転車の乗り方はダメですよ、日本じゃ道交法違反に)