「【”一生、君を待ち続けるって言ったじゃない・・。”文化大革命の中での淡く儚い恋物語。内気な少女静秋を演じたチョウ・ドンユイのどこか寂し気で、けれども笑うととても愛らしい表情と、ラストに涙した作品。】」サンザシの樹の下で NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”一生、君を待ち続けるって言ったじゃない・・。”文化大革命の中での淡く儚い恋物語。内気な少女静秋を演じたチョウ・ドンユイのどこか寂し気で、けれども笑うととても愛らしい表情と、ラストに涙した作品。】
■1970年代初頭、文化大革命の渦中にある中国。
国策によって農村実習に派遣された女子高生・静秋(チョウ・ドンユイ)は、泊めてもらう事になった家で、地質調査員の一員として村に来ていた孫(ショーン・ドウ)という青年と出会う。好意を隠さない彼に静秋も次第に引かれていく。
だが静秋の父は、党の思想に背いたのか労働改造所送りとなっており、母も再教育を受ける身。
一方、孫は共産党の幹部の息子であり、裕福で快活な青年であった。
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
■ご存じの通り、チャン・イーモウ監督は、思想制限のある中国で数々の名作を世に出して来た。
それは、今作を観ても分かるが当局を刺激するような表現をしないからである。
だが、私はチャン・イーモウ監督は、若き頃は反文化革命思想を持っていたのではないかと今作の様な作品を観ると思ってしまうのである。
・静秋と孫の儚い恋心を表すシーンの数々。
ー 例えば、二人が病室でベッドを共にするも、孫は静秋の着衣の上から、優しく撫でるだけであったり、川を挟んでお互いに抱擁のポーズを取るシーンであったり・・。-
・今作の魅力は矢張り若き、チョウ・ドンユイの表情であろう。彼女の魅力は「少年の君」を観ても良く分かるが、控えめで、どこか寂し気で、けれども笑うと、とても愛らしいのである。
・静秋が孫の健康状態を心配するシーンでも、明かに白血病になる仕事をしていた孫の姿をサラリと見せる。
ー ここでも、チャン・イーモウ監督は静かなる”マオ・ツー・トン全盛時代”の民を改革の名の元、犠牲にした憤りを表現していると、私は思うのである。-
<今作のラストは切なすぎる。
静秋と孫は3日間の逢瀬をし、写真館で写真を取り、孫は静秋に”青ばかりではなく、赤い服も着てよ。”と言って真紅の布を買って上げ、世間体を考え暫く会うのを止める二人。
けれども、悲劇は突然やってきて・・。
真紅の服を着て病院に駆け付けた静秋の前には、息絶え絶えの孫のやせこけた姿。
そして、孫が見ていた天井には且つて二人が写真館で一緒に撮った笑顔の写真が貼ってあるのである。
今作は、繊細で、儚くも美しい映画である。>
「ラストに涙」、その通りでした。あの写真はズルいです。泣かない人なんているのでしょうか?
それにしても、主人公の女優さん、なんとなく見たことあると思ったら、「少年の君」の方だったんですね!納得しました。