「SF映画の金字塔の序章としては、狭い入り口やね」猿の惑星:創世記(ジェネシス) 全竜さんの映画レビュー(感想・評価)
SF映画の金字塔の序章としては、狭い入り口やね
如何せん人間・猿双方の葛藤が浅いため、総合的にスケールが乏しい。
人間側にも猿側にも曲者役者が揃っていたにも関わらず、キャラクター描写が消化不良気味で、肝心のバトルシーンに緊迫感が伝わってこないのは、致命的だ。
あれでは、ただの猿の集団脱走に過ぎず、やがて立場が一変するほどの大暴動とは思えない。
スタッフも説得力が希薄なのを察して、同時期に殺人ウィルスが反乱したのも人間がピンチに陥る要因となったと補足していたが、逆に言い訳がましくて余計に冷めた。
また、センサーで俳優の顔の動きを事細かにCG特撮に打ち込んだメイクアップ美術が、最大のウリだが、猿たちの豊かな表情に私は違和感を覚えた。
人間に近いのではなく、人間そのものではないかと。
文明の発達が足かせになってしまうという点ではリアルに正解なのは何とも皮肉である。
そもそもこのシリーズは自由の女神のオチだけで食いつないでいるようなもんやからね。
あとはロクな続編出てきたためしがない。
元祖とか本家とか、たいそうな看板掲げているけど、味は大したことない蕎麦屋と一緒やがな。
そんなチェーン店が今年の秋の新メニューにカレー南蛮作ったって出来はたかが知れてらぁ〜ってぇ話である。
でも、滅茶苦茶だったティム・バートン版よりは相当マシやったかな。
自己満足の塊でとてもやないが、食えた代物やなかったから。
蕎麦屋でアラビアータ作ってどないすんねん!?ってぇぐらい呆然となる味付けやったからね。
無言となったのに比べると、それなりに完食できたから、OKっとしておきますか。
銭払ってまで食いたいか?は別だが。
んまぁ、原作小説では猿のモデル自体、我々日本人(戦時中の日本軍)なのだから、どう描かれても歯痒さが残るのは当たり前なんやけどね。
では最後に短歌を一首
『地球(ほし)の旗 奪ふ序章 檻を起つ(絶つ) 怒りに染まり 交代(抗体)を発つ』
by全竜