「既視感のあるコラージュ的な作品」トータル・リコール Rintarouさんの映画レビュー(感想・評価)
既視感のあるコラージュ的な作品
会社帰りに、ダークナイトライジング、アヴェンジャーズと迷って、オリジナルとリメイク作品を比較したくてトータルリコールを観に行った。
原作はSF界の巨匠フィリップ・K・ディック。ユニークな着想と独特の政界感をどう表現するかが気になっていた。
シュワちゃん+P・バーホーベン作品の独特の映像世界とはまた違って映像作りは悪くない。コロニーの香港風のアジア的な世界観とUFBの上位階級の西欧的な世界観の対比もわかりやすい。
バーホーベンはロボコップやスターシップトゥルーパーでも徹底的に暗さを排した明るい画面作りが逆にインパクトがあって好き(エイリアンやブレードランナーのリドリー・スコットとは対極だけど)。
オリジナル版が新鮮な未来的映像世界を造り上げていたのに対し、リメイク版はMatrix+スターウォーズ+あれこれヒット作品の美味しいとこ取り的な、どこかで観たことある感は否めなかった。アジア的なもので誤摩化さず、もう少し突き抜けたアイディアがあってもいいのではないかと思う。
それと、オリジナル版が夢か現実かの区別がつきづらい観客の想像に任せるエンディングだったのに対し、リメイク版はどちらかというと現実=ハッピーエンドに見えた。トータルリコール社やコロニーでの描写含めて、視聴者を惹き付ける、考えさせる部分は弱かった印象。最後はただのSFアクションで終わってしまった。まあ、監督がダイハードの人なので仕方ないのかもしれないけど。
ただ、原作を読んだり、オリジナルのトータルリコールを観てない人にとっては、娯楽作品としては単純にそれなりに楽しめると思う。
個人的にはアンダーワールドの無敵の美女ヴァンパイア役で活躍中のケイト・ベッキンセールのバカ強い悪女ぶりがなかなかでした。ジェシカ・ビールとの美女二人のエレベーター内での殴り合いも壮絶。アンダーワールドシリーズはすべて観ているが、やはりケイトは戦っている姿が美しい。
レジスタンスのリーダー、マサイアス役でアンダーワールドのヴィクター役のビル・ナイが出ていたのには思わずニンマリ(笑)
逆に、コリン・ファレルはちょっと線が細かったかなー。もっとも、主人公が仮にウェズリー・スナイプスだったら、もろアクションオンリーになってしまったと思うけど、ケイトとのヴァンパイアタッグも観てみたい(笑)