「監督がデヴィッド・フィンチャーで良かった!」ドラゴン・タトゥーの女 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
監督がデヴィッド・フィンチャーで良かった!
スウェーデン発のベストセラー小説の、本国スウェーデンに続きハリウッドで映画化した話題作。
スウェーデン版は、特異な登場人物と横溝正史作品を思わせる濃密な内容で、これぞミステリー!と太鼓判を押したくなるほど面白かった。
なので、ハリウッドリメイクの話を聞いた時、何でいちいちリメイクなんか…と正直思った。
しかし、監督がデヴィッド・フィンチャーと聞いて、期待に変わった。
「セブン」「ゾディアック」を手掛けたフィンチャーなら、下手な映画にはしないだろう。
その期待は見事に裏切られる事はなかった。
「ソーシャル・ネットワーク」に続くスタイリッシュな演出、映像、編集、トレント・レズナー&アッティカス・ロスによるクールな音楽(タイトルバック!)で、フィンチャー印炸裂の作品に生まれ変わっていた。
同じ脚本を2人の監督に渡して同じ作品に仕上がる事はないのも確かに頷ける。
ストーリーについては今さら触れる事もないだろう。
元々が面白い作品なのだから。
ベテラン脚本家スティーヴン・ザイリアンの手腕が光っていた。
この作品の大きな見所の一つは、ヒロインのリスベット。
今回この、全身ピアスにドラゴンのタトゥー、天才ハッカーにして複雑な内面を持つ難役に挑んだのは、新星ルーニー・マーラ。
リメイク版「エルム街の悪夢」やフィンチャーの前作「ソーシャル・ネットワーク」に出演していたが、清楚だった以前の役柄と比べると、その変貌は驚くべき。
でも正直、スウェーデン版のノオミ・ラパスと比べるとインパクト不足か…。(アカデミー主演女優ノミネートも意外)
だが、その体当たり演技は素晴らしい事に変わりないし、またハリウッドから楽しみな逸材が誕生した瞬間だ。
デヴィッド・フィンチャー作品の好きな人、ミステリー映画の好きな人、久々に見応えのある作品を見たい人なら、見て絶対損しないオススメの作品。
この濃密ミステリーをぜひ劇場で!