「原作を読み、もう一度映画館で是非とも見直しても更に楽しめそうな久々の良作」ドラゴン・タトゥーの女 Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)
原作を読み、もう一度映画館で是非とも見直しても更に楽しめそうな久々の良作
ディヴィット・フィンチャー監督なら、どうこの世界的なベストセラーを仕上げるのだろうか、とても興味があった!そして全くその期待が裏切られる事は無かった!!!
私は不勉強で、残念な事にスティーグ・ラーソンの世界的なベストセラーも読んでいないばかりか、このハリウッド版リメイクと言うこの作品を見るまでは、オリジナル映画であるスウェーデン映画版も観ていないので、あくまでも今回の作品を単体映画として自分が観て感じた印象しか書けないのだが、久し振りに映画としてとても楽しめる作品に出会えた気がしている。
この監督は独自の映像感覚を持っているためか、もう映画のファーストシーンが写し出されると、これは、きっと面白い展開を楽しめるに違いないと大きな期待の予感が胸に溢れて出て来るのが解り、あっと言う間に、D・フィンチャーの世界へと引きずり込まれる自分を発見したし、そしてその世界に自然に身を任せる事が出来た。映画ファンにはとっても満足出来る新たな映画作品の一つが生れたと言える。
しかし、映画の途中では、かなりエグイシーンも展開するために暴力的なシーン及び、肉体的痛みを見せ付けられるのが苦手な人は、覚悟を決めて観る事をお勧めするし、出来る事なら、映画を観る前に食事を済ませて置く事も併せてお薦めしたい!
映画観賞後は、食欲・体力共に減退するのは確かだ!されど『セブン』を観た方や、あの映画のテイストを評価出来る人には、更なる面白さをプラスした作品として絶対満足出来る映画だと思う。
本来、私は暴力的なシーンや、サスペンスなどで残忍な映像が出ると生理的に反発してその映画は、普通受け付けないタイプの人間であり、したがってホラー映画や、サスペンス映画は避ける傾向が強いのだが、しかしそこに人間の本質に迫る真実の欠片や何か人の共通認識現れが流れて描かれている場合は、例外だ。
『ソーシャルネットワーク』や『セブン』『ファイトクラブ』『ソディアック』が好きな人は絶対失望する事は無いと想像する。
主演のD・クレイグが渋いし、クリストファー・プラマーそしてライト・ヨリックなど俳優陣がベテラン揃いで素晴らしい上に、この作品で、アカデミー主演候補と一躍躍り出たルーニー・マーラーのナイーブなガラスの様な危険で危うくそれでいて繊細な役処を見事に体当たりで演じているのも見所の大きな要素でもある。
原作には、かなり細かく人物のイメージが描かれているとの事で、ルーニー自身リスベットを演じきるのに苦労は無く自然に役になりきる事が可能だったと記者会見で話していたが、なるほど頷ける。その名に有る通りに、ドラゴンタトゥーのその謎のハッカーのイメージは自分の中では、『シザーハンス』を想い起こさせた。何故なら、その醜い容姿とは裏腹に、そこに隠された、一人の人間の奥深く底に横たわるその女の生い立ちの悲しみが、ドラゴンタトゥーと言うその恐い表情とは逆に徐々に明らかにされて行く悲しみのストーリー、その女の生き様に共感を覚えずにはいられなかった、衝撃の極上サスペンス!