「【”夢の発明。それは映画。”今作は、両親を亡くし駅の時計塔で寂しく暮らす少年が”機械人形”と出会い、失意の元映画監督に再び精気を蘇らせる映画愛溢れるヒューマン・ファンタジーである。】」ヒューゴの不思議な発明 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”夢の発明。それは映画。”今作は、両親を亡くし駅の時計塔で寂しく暮らす少年が”機械人形”と出会い、失意の元映画監督に再び精気を蘇らせる映画愛溢れるヒューマン・ファンタジーである。】
■1930年代の第二次世界大戦が始まる前の華やかなりしパリが舞台。
父親(ジュード・ロウ)が遺した壊れた”機械人形”と共に駅の時計塔に暮らす孤独な少年・ヒューゴ・カプレ(エイサ・バターフィールド)。
機械人形の修理に苦戦していたが、優しい少女イザベル(クロエ・グレース・モレッツ)と仲良くなり、一緒に機械人形の秘密を探っていく。
そして、ヒューゴが直した機械人形が自動で描いたのは、月の目玉にロケットが命中する絵であった。
◆感想
・観ていれば分かるが、今作は映画愛に溢れている作品である。
分かり易い所で言えば、シネマトグラフィイを発明したリュミエール兄弟の「列車の到着」「工場の出口」チャップリンの「モダンタイムス」そして、今作の主役と言っても良いジュルジュ・メリエスの「月世界旅行」である。
初見時には、映画の知識が無かったので気付かなかったが、(流石に、チャップリンの「モダンタイムス」は、分かったが。)今観ると、数々のサイレント映画など映画創成期へのオマージュをふんだんに盛り込んでいる。
・画が、抜群に美しくて、特にパリ駅構内の構図や、人々の衣装などは素晴らしい。又、”機械人形”を初めとし、時計台の中の歯車の作りや、ゼンマイ仕掛けのカラクリの数々も素晴らしい。
・ヒューゴが、パパ・ジョルジュ(ベン・キングズレー)の店から、色々な部品を拝借して修理していた”機械人形”が、ジュルジュの養女、イザベルが首から下げていたペンダントのハート形の鍵を差し込むとカラクリでジュルジュ・メリエスの「月世界旅行」の中の有名なシーンである”月の目玉にロケットが命中する絵”をスラスラと書きあげるシーンも良かったな。そして、最後に”機械人形”が記したサイン”ジョルジュ・メリエス”。
カラクリって、観ていて楽しいモノであるよね。
・イザベルの協力もあり、第一次世界大戦により、人々が映画から離れてしまい、自身の夢が詰まっていた映画会社を失い、心を閉ざしていたパパ・ジョルジュ(=ジョルジュ・メリエス)の心をヒューゴが徐々に解いていく様も、素敵である。
・個人的には、厳めしい鉄道公安官(サシャ・バロン・コーエン)が、花屋の美しい女性リゼット(エミリー・モーティマー)に惹かれて、人間的になって行く姿が好きだな。
<ラスト、大学教授で少年時代にジョルジュ・メリエスの映画製作所を訪れた事が忘れられないルネが、彼の作品の多くを見つけ出し、メリエスが晴れやかな顔で表彰式に臨んだ時のヒューゴに対する感謝のスピーチも、良きシーンでありました。
今作は、両親を亡くし駅の時計塔で寂しく暮らす少年が”機械人形”と出会い、失意の元映画監督に再び精気を蘇らせるヒューマン・ファンタジーなのであります。>