「殺し合いは女同士がよく似合う」ハンナ 全竜さんの映画レビュー(感想・評価)
殺し合いは女同士がよく似合う
父親のスパルタ狂育の果てに、あどけない無垢なる乙女が凄腕の処刑人として覚醒し、悪巧みする大人達を片っ端から殺りまくる血飛沫塗れの世界観は、『キックアス』のヒットガールが記憶に新しい。
問答無用に成敗するヒットガールがアメコミ的ならば、自然の中で旅をしながら成長(腕を磨く)するハンナは童話的である。
ハンター達に生家を追われ、モロッコのリゾート地に流れ着き、モーテルでテレビや電灯etc.の文明の利器に驚く純朴さが、彼女に初々しさと切なさを抱かせ、物語の残虐性を際立たせている。
野外戦も多く、たった独りで国家権力に刃向かう無謀な闘いは『ランボー』を彷彿とさせるが、従来型のヒットマン映画と一線を画すのは、一貫して“闘う女”を描いている点に尽きるであろう。
主人公が女ならば、追うCIAの親分も女、旅の途中で仲良くなるのも同世代の女、鍵を握る母親との関係を知り、己の出世の秘密に愕然とし、更に凶暴化が加速する展開は、常に女性中心の殺気が漂う。
徹底したこだわりは『キックアス』とは違う突き抜け方が有り、面白かった。
雇われた男の殺し屋グループが全員ゲイと云うのも皮肉が効いている。
最終決戦の寂れた遊園地にてハンナとケイト・ブランシェット演ずる女親分が対峙する一騎打ちの異様なる緊張感に、海馬がツツカレると、
「やっぱしオンナは強い生き物やなぁ」
とつくづく感じた。
大統領がヒラリー・クリントンで、総理が蓮舫ってぇのも、まんざら有り得ない話でも無いだろう。
それなら日米サミットは、国会議事堂で泥んこプロレス演って欲しいね。
《ドキッ!女だらけの60分3本勝負》って銘打って。
…やっぱ、いいや
最後に短歌を一首
『雪交わ(飼わ)す 芽生えに注ぐ 血の螺旋 性を撃ち(討ち)抜く 魔女たちの帰路』
by全竜