ウィンターズ・ボーンのレビュー・感想・評価
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アメリカの村社会の閉鎖性を垣間見た
父がどこにいるのか、生きているのか、ミステリータッチの展開で引き付つけておきながら、結局、山場というところがなく終わってしまった。いわば、サビの部分がない歌みたいだ。
最後、母、弟、妹と一緒に暮らせてハッピーエンドとなり、カントリーミュージックがバックに流れ、エンドロールとなる。この映画の舞台となった、森林風景の雰囲気によく合っていた。ただ、この幸せは、父が死んだという証拠の代償だったというところは、なんとも切ない。それと、いったい誰が父を殺したのかわからず、やや消化不良気味になる。
※印象に残ったセリフ(この映画で唯一救われるシーン)
<最後、自宅前で主人公が弟と妹と一緒に座っているシーン>
ソニー(弟):お金があれば行かない?
リー(主人公):行かないって何のこと?
ソニー:軍隊に入るって
僕たちが邪魔?
リー:このお荷物がないと気が抜けちゃう
ずっと一緒よ
<アシュリー(妹)がバンジョーを弾く>
暗い映画だが、暗さを狙いすぎ
全編を通して暗い雰囲気だが、
雰囲気作りのためだけに不必要な描写を入れすぎていると感じた。
例えば、実父の死体をわざわざ手づかみさせて、ノコギリで切断を促すシーン。
そんな生涯のトラウマになるような行為を強いる理由がない。
別の方法がたくさんある中で、一応は主人公の味方が提案する方法としては酷すぎる。
視聴者に対するインパクトを狙っただけという印象。
また村の登場人物ほとんどが愛想笑いすら浮かべないのも、
笑顔がなければ暗いという単純な発想なのか知らないが、
現実にそんな共同体が成立するとも思えない。
そういう具合なのでリアリティが感じられず、ヒューマンドラマとしては響いてこなかった。
ただ、主人公演じるジェニファーローレンスは魅力的で、見飽きなかった。
ああ。。。
ミズーリ州のオザークはヒルビリーと呼ばれたスコットランド系アイルランド人(その子孫)の極貧地帯があるんですね。。
アメリカの格差社会ってやばいよなーと思っていたけど、、、これ、現実でも行政は手助けしないのでしょうか??
まさに八方ふさがりの状況下で、これでもハッピーエンドかな。。
狙い過ぎかな?とも感じてしまったけれど。
選べない。逃げられない。守るしかない。
名画座にて。
サンダンスでグランプリをとり、アカデミー賞にもノミネートされた
本作が名画座にくるというので楽しみにしていた。
いやはや^^;想像はしていたけど、まぁ~残酷で、寒々しい映画。
確かに「フローズン・リバー」と似た様相があるが、こちらは17歳の
少女が主人公とあって、さらに痛々しい。
とはいえこのJ・ローレンス、ものすごい貫録がありタフこの上ない。
男なら間違いなくタフ・ガイと書きたいタイプの凄腕女優という感じ。
村のヤクザ(としか思えない)組織相手に勇敢に立ち向かう様子は、
一家の主。がふさわしい。そうならざるを得ない状況下なんだけど^^;
もっと違う環境を想像していたのだ。
冒頭からドラッグに汚染された村、母親は精神異常、父親は失踪、
村のどいつもこいつも皆暴力的でおかしい、といった環境の有様に
溜息すら出ないほど。これじゃあ…どうやって生きればいいのか。
ドラッグに頼ることで成り立つ世界で暮らしてきたこの一家。
まだ小さな弟妹もいるというのに、こんな(見たくない)米国の闇を
今作は容赦なく見せる。
とにかく目下の問題は保釈金として自宅を担保にし失踪した父親を
探し出し、母親と弟妹の世話をしなければならないという現実だ。
食うものにも困った主人公は、弟にハンターとして狩りを教え、
食いつなぐ一方で、踏み込んではいけない村の掟に迫っていく。。。
こんな世界、日本じゃまずあり得ないと思ってしまうが、
生まれながらにしてこの環境、逃げたくても逃げられない絶望感は
先日観た「ヒミズ」(あっちのがかなり甘いけど)に通じるものがあった。
踏み込んだ世界をどう捉え、どう理解し、どう乗り越えていくのか。
どうみても子供が考えなきゃならない世界じゃないんだけど(汗)
情け容赦ない大人達の暴言やリンチぶりに、絶望を感じると同時に、
私はあんたらとは違う、あんたらのように堕落しないんだよ!という
強い意志を抱く少年や少女の、真っ直ぐな視線に惹きつけられる。
生まれる世界を選べない子供は、どうあがいてもその環境で生きる
しかないわけだ。親が親なら…と堕落する子供が多い一方で、
それすらできない(まさに親代わりの)子供たちもいるということだ。
知恵を手繰り寄せ、使えるものは何でも利用する大胆な行動ぶりに
クスリに負けている大人達が哀れに映る。それにしてもあんなに怖い
女たちがいる村なんて絶対に嫌だ(汗)いつ殺されるか分かりゃしない!
あり得ない…と思いたい自分が必死に画面を止めているような作品。
(敵だらけの巣穴を守る雌の本能、どこにいても女って強いのねぇ~)
微かな希望
寒々とした風景とか『フローズン・リバー』と同じ空気感。
どこまで、突き落とせば気が済むの???って思わせときながら、見捨ててなかった叔父と、コミュニティーのおばちゃんたち…。
突き放した優しさが、潔くかっこいい。
に、しても、リーは強い…。日本にはあんな17歳絶対おらんわ…。
これもアメリカ…。
と、やっぱ、何があろうと、
仲間は売ってはいけませんね。
荒みすぎ
アメリカのド田舎の貧困ぶりが強烈で、景色も寒いけど現実も寒すぎて、心が凍える映画だった。主人公の女の子は17歳にして重い現実と向き合わざるを得ず、しかも親戚にリンチに合うなどどこまで荒んでいるのか可哀相でしかたがなかった。しかし彼女はどこまでもくじけず健気に立ち上がるところが大変かっこよかった。
(追記)
公開時に見て以来2回目で内容はすっかり忘れてしまい思い出そうとすると『フローズンリバー』を思い出してしまう。とうとう最後まで子ども時代の写真しか出番がないお父さんの謎が明確にならないまま終わる。覚せい剤を密造していて、その内幕を警察で話して身内に殺されてしまった、みたいな感じかな。山と家を取られなくてよかったし、保釈金立て替え会社の人が暖かい人でよかった。じいさんがやたらと怖れらていて、周りが奉ってる感じが意味不明で気持ち悪い。ジェニファー・ローレンスの暗い目に癒される。彼らがいわゆるところのヒルビリーなのかな。
サスペンス物ではない?
少女による懸命な父探しのストーリー。
もっとも、その動機は、家を明け渡さないで済ませるためには、生死にかかわらず父親を見つけることが必要だからというもの。
残念ながら、なぜ父親が殺されたのか、なぜ叔父が急に助けてくれるようになったのか、なぜ村の女性が父親の遺体の場所を教えてくれたのか、いまいち理解し切れず。
結局、他の人たちも少女の態度に心を動かされたということだけ?
特に、最後の遺体を見つけるくだりは、村人たちのそれまでの頑なな拒絶反応とは逆の展開で、ややいきなりな感じもした。
少女の強さや、村の胡散臭さ・不気味さはよく伝わったものの、ストーリー的にはサスペンスというほどドキドキもせず、少女が頑張っているなという印象のみ。
まあ、犯罪物・サスペンス物というよりは、叔父との関係も含めた、家族関係を主に描いた作品なのかも。
観ている間、主人公(ジェニファー・ローレンス)がレニー・ゼルウィガーかと思っていた。年齢的にあり得ないのだが、なんか似ている気がする。。。
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