「無農薬野菜のような映画やねぇ」わが母の記 全竜さんの映画レビュー(感想・評価)
無農薬野菜のような映画やねぇ
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翌日が母の日だったのと、私が介護福祉士だという理由が無ければ観賞欲求が湧いてこない映画である。
案の定、可もなく不可も無いホームドラマだった。
痴呆が進みどんどん判断力が混乱していく老婆の心中を表現した樹木希林の描写力に圧倒されたが、全体的には、それ以上でも、それ以下でもない。
無農薬野菜みたいな映画やと評しても良いだろう。
それは、井上自身が既に大ベストセラー作家となり、経済的にも人間的にも裕福な環境やからやと思う。
いざ老婆を引き取る際、療養先としてリゾート別荘に招く時点で、一般人とかけ離れている。
老いた両親の奇行に振り回される別荘の無い我々は、どこに招けば良いのだ?と一気に冷めた。
介護に一生懸命なのは、息子の役所広司より、孫娘の宮崎あおい達やったし。
幼少期に母に捨てられたと思い込んでいるとはいえ、他人ごとのような感覚を感じ、殆ど感動できなかった。
まあ、母へ感謝せなぁあかんなと実感させてくれただけでも収穫なんかな。
帰りにプレゼントは何にしようか迷いながら、最後に短歌を一首
『崩れゆく 絆の在処 背負う道 捨てられてこそ したためる愛』
by全竜
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