「あおいちゃん好きさ~ん、出ずっぱりですよ~♪」わが母の記 星なれさんの映画レビュー(感想・評価)
あおいちゃん好きさ~ん、出ずっぱりですよ~♪
役所広司、樹木希林メインの映画だと思ってたら
宮崎あおいちゃん出ずっぱりでうれしい誤算。
役者陣も皆良いのでキャスティングで裏切られることはないです。
あおいちゃんファンとしては「三浦貴大めっ!」と感じた程度です、ぶうぶう(笑)。
時間がすっ飛ぶのはいたしかたない?
目をつぶれる……範疇かな。
大河の篤姫ほどの時間幅ではないけれども
セーラー服からちょいアダルトなあおいちゃんまで、
ちょっぴり悪態をついたり甲斐甲斐しかったり
色々な姿を見られます♪
樹木希林さん出演のテレビ「寺内貫太郎一家」をリアルタイムで
見ていたであろう世代には、もう樹木希林が老婆を演じるだけで
笑えます。同じ言動を繰り返したり毒のあるセリフをポロッと吐いたり
「素の樹木希林だろ!コントだろ!」と笑えてしまいます。
あの頃から全く変わっていないのではないかとゾッとさえします。
ところが、樹木希林のセリフで役所広司が涙をこぼすシーンで一変、
ここからは「時間ですよ!」の樹木希林ではなく
役としての樹木希林にガラッとチェンジし
エンディングまで魅了します。
泣かせる映画というのは、笑いのエッセンスとこみあげる感情の高ぶり
をうまく押し引きしたものであるという持論があるのですが
この映画はまさにそれです。
むしろ終盤まであっさりと仕上げている映画なので、
鑑賞後は爽やかでさえあります。
こんな亡くなり方は今の日本では間違いなく稀有だし、
特別養護施設に預けてしまうこともなく裕福な家族が
なんだかんだ言いながらも寛容に、婆ちゃんに最後まで付き合い
そして最期まで看取る、
幸せな時代だったんだな、家族だったんだな
と現実を振り返って虚しくさえ感じられました。
……宮崎あおいが手にしているカメラが
ハーフサイズフィルムカメラの名機"オリンパス ペン"なのが
昨今の騒動でオリンパスのCMがTVで流れなくなった今、
諸行無常を感じさせます……
(映画撮影中にはこんな騒動は想像だに出来なかったでしょうw)
評価のマイナス0.5は試写会場の音響が良くなかったのか
音が割れていてセリフがよく聞こえなかったためと
映画音楽がイマイチだったためですw