メカニックのレビュー・感想・評価
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周到な準備が勝利を導く
寡黙で淡々と“仕事”をこなす男に、いま一番似合う役者がジェイソン・ステイサムだろう。
スタントもできるアクションスターということで、出演する作品に幅がなくキャラクターも固定化してしまっているが、何本観ても見飽きるということがない。
動きの俊敏性だけでなく、シャープな頭脳を持つイメージが、アクションに幅を持たせるからかも知れない。
今作でも、頭脳を使った用意周到さと、的確な判断による俊敏性が活かされた役どころだ。オープニングの暗殺で、緻密さと大胆さを兼ね備えたキャラクターを観る者にあっという間に植えつける。
それが、親友の息子・スティーブを助手にしたことから、寸分の狂いもなかった“仕事”の歯車に亀裂が入り始める。ここが、この映画の面白さだ。
死んだはずの人間が生存していたり、父の死の真相を知ったスティーブの行動によって、亀裂はあらぬ方向に向かい、その傷口を広げていく。
裏切りと仲間割れ。最後まで生き抜くのは誰か?
アーサーの親友にしてスティーブの父が遺した銀色に輝く拳銃コルト・ガバメント。そのスライドの側面に彫られた文字「周到な準備が勝利を導く」が最後までものを言う。
殺し方が工夫されていて、興味深かった・・・
とにかく普通に楽しめるアクション映画。
アクション映画の原点今、ここに!!!
ジェイソン・ステイサムと言えば、もうアクション映画には欠かせないスターの一人である彼の魅力満載の1本である。この作品は、‘72年のC・ブロンソン主演のリメイクと言うだけあり、映画の登場人物のキャラ、ストーリー展開も、やや今のハリウッド作品を見慣れている人達には、あれ?と感じさせるレトロな雰囲気が見え隠れするのだが、そこが
返って新鮮に観客を魅了していると思う。舞台がアメリカ南部と言うのも、多くの映画がNYなどの大都市での事件展開を主としているのと違い、地方の海とか、自然の風景を沢山映像に納めている点でも、一味また違った楽しみがある。
そして、オリジナルでもそうだったが、男臭い、今にも画面からアクションシーンのスターの汗と体臭が漂ってきそうな、キャラの濃い事も、この手の映画の面白さだ。最近のアクションスターは、スマートにキメ過ぎる傾向があり、それはそれで恰好が良いのだが、アクションは、身体全部を使っての派手な人間の動きを感じさせるところにその映画のリアルな楽しみがある様に、私は信じている。その為に、最新の小型兵器などの、武器を沢山巧みに操る、主人公のキャラと違い、この作品は、全体には西部劇を連想させるような、善、悪のハッキリしたキャラと、裏切りなどなど、J・ステイサムの体を張ってのアクション展開には、ラストまで目が離せない。
一般にリメイク作品は、オリジナルの印象が鮮明で、作品の評価が高いがゆえに、リメイクとなるため、前作を超える面白さを期待出来ないのが普通だが、この作品は、約40年振りの映画化と言うだけあり、アクションはCGで巧く処理し、迫力や、スピード感など、テンポ展開が更にヒートアップし、オリジナルを上回る。そして当時の作品の話しの面白さである、キャラクター作りの美味しいところだけをうまーく再現しているのも拾いものである。そして、D・サザーランドと言う名優が顔を見せているのも、魅力の一つ。
もう一つ、音楽も、効果的に、キャラクターの魅力を盛り上げていた。
『カウボーイ&エイリャン』が、この秋から公開予定であるが、この作品を見る前に、この本作『メカニック』を見ておくのも、アクション映画ファンなら良いかも知れない。
昔、日本のTVでチャールス・ブロンソンが、男性化粧品のCMに出演していて、『うーん、マンダム』と商品名を言うのがあったが、もしも、この映画をC・ブロンソンが、草葉の陰で見ていたら、きっと『うーん、マンゾク!!』と言うに違い無い。そんな思いが、この映画を見て私の脳裏をよぎった。若い映画ファンにも、そして長ーく映画を見ている人たちにも、共に楽しめる、娯楽作品としてこれを勧めたい。
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