「後悔だけが3D以上に飛び出す始末の茶番」映画 怪物くん 全竜さんの映画レビュー(感想・評価)
後悔だけが3D以上に飛び出す始末の茶番
終始、グダグダなノリがTVドラマの持ち味なのかは解らない。
っていうか、解りようがない。
何せ観客が私1人だけだったからだ。
スタッフのオネエさんと1対1で3Dメガネの使用注意を聞かされた時、CMで《大ヒット御礼》云うてるけど、どこがじゃ!?と、我がツッコミの方が3D以上に飛び出す始末。
ストーリーはほぼゼロに近い。
ドラマ性も特撮技術も学芸会レベル。
どこが怪物なんだ?
みんなカブリもんやんけ。
くだらないネタ1つにいちいちクドく絡みやがるから観ていて常にイライラする。
“我が儘”をキーワードにしているのは解るが、延々と言われるとさすがに耳障りだ。
第一、責任を負えば我が儘して良いっていう解釈は、いくらなんでも違う。
支配者(上川隆也)の正体が魔物・岩男で裏で怪物くんのライバル・デモキン(松岡昌宏)が暗躍しており、企みを達成するや、デモキンは岩男を平気で見捨てる。
裏切られた岩男は当然、激怒し大暴れ。
手がつけられなくなると、なぜかデモキンは怪物くんの味方に鞍替えし、共闘。
「オレはお前を許さない!!」
…って、そもそも岩男をそそのかしたのはデモキン本人やないか。
英雄気取りでエエ格好してる身分ちゃうやろ。
対する怪物くんも
「他力本願はしない!自分の力で乗り越えなきゃダメなんだ!!」
と叫んでおきながら、結局、魔力と手下で全て片付けている。
魔力って他力の最たる物やろ。
っていうか、コレ言うたらオシマイだが、元々、大野くんが怪物くん演る事自体ムリが有る。
どう考えたって“くん”ではない。
怪物ランドのプリンスというより、怪物ランドの若旦那である。
敵を倒してメデタシ、メデタシと行きたいところだが、岩男は怪物界の廃れた身分制度に憤ったわけで、ボッコボコに成敗ても、根本的な問題点は何も解決しちゃいない。
つまり、銭払ってまで観る価値は無い。
今作を教訓に、今やってる『妖怪人間ベム』は映画化なんて云わないで欲しいもんやと心配しつつ、最後に短歌を一首
『王冠を 前に飛び出し 月に吠え 我が儘(魔々)光る 華麗(カレー)なる噴火』
by全竜