「藤原竜也を観る映画」カイジ2 人生奪回ゲーム つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
藤原竜也を観る映画
ギャンブルの興味深い点は、「もしかしたら…」というリターンへの期待と「今更引けるか!」というリスクへの意地のバランスにあると思う。
リターンが大きい、と言うことはリスクも大きく、一度身を投じたら栄光か破滅の二択しかない。
逆に言えば、既に破滅のリスクから逃れられないと悟った人間は、一発逆転のリターンに賭けることへのハードルが相対的に低くなる、ということだ。
そんな狂気の世界に藤原竜也はよく似合う。思えば彼を一躍有名にした「バトル・ロワイアル」も狂気の世界だった。
藤原竜也が演じると、全てが狂っていく外の世界と、彼の内側に存在する狂気の微妙な温度差のようなものが伝わってくる。
熱狂のなかで一人だけ、別のベクトルを向いているような、そんな感覚だ。
それが映画版「カイジ」の魅力だし、藤原竜也の魅力だと思う。
噂に名高い「沼」攻略だが、原作未読なのであんな方法だとは思わなかった。まさにクレイジー。打つ方も、妨害する方も、「後には引けない!」そんな狂気のマシーン攻略を見せ場に持ってこられる演出がすごい。
ハッキリ言って、他人がパチンコ打ってる姿って、普通は面白くない。映画だから見えてる画面が全然違う事を差し引いても、動きの無い地味なパチンコで山場を作れるとは恐ろしい。
藤原竜也のカイジと対になる狂気を伊勢谷友介の一条が、強かさを香川照之の利根川が、人の良さを生瀬勝久の坂崎が、それぞれ強烈な個性で演じているのを観るのも楽しい。
一応「ファイナルゲーム」の予習のつもりで観たのだが、思ってたより楽しめた。
次は完全オリジナルらしいので、もっと濃いキャラが出てくるのかな~、と妄想してみる。
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