「ぬくもりのある演出」東京家族 菜野 灯さんの映画レビュー(感想・評価)
ぬくもりのある演出
小津安二郎の「東京物語」のオマージュ。
橋爪功、吉行和子の演じる夫妻が穏やかな口調、ゆったりとした物腰といった老夫婦の感じをすごく自然に出していた。とある島の田舎で暮らす老夫婦は、東京で暮らす長男、長女、次男、3人の子どもたちに会いに、東京に旅に出る。ホテル住まいではなくて、長男、次男の家に泊るところが、いまの感覚と少し違っているけれど、家族のつながりを感じたい気持ちがあれば、いまもありえなくもない。
子どもたちが、気を遣って高級ホテルを手配するも、1泊すれば、また長女の家に戻ってきてしまう。老夫婦が東京に子供たちに会いにいく数日間の間に、親子の関係を見つめ直し、家族の絆を感じ合う、そんなひとときがぬくもりとともに演出されていて、何より自然で感動しました。
風景画のように自然な演出が続く、山田洋次監督の匠の技だと思った。
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