「やっぱりチャップリン」ダンシング・チャップリン xtc4241さんの映画レビュー(感想・評価)
やっぱりチャップリン
こんにちは(いま4月17日11:48頃です)
この映画のテーマはいろいろとある。ありすぎるくらいだ。
たとえば、
①振付家ローラン・プテイとチャップリンの出会い
②ローラン・プテイと周防監督の芸術に対する葛藤
③ルイジ・ボニーノというダンサーの集大成であること
④草刈民代というダンサーのラストダンスであること
⑤チャップリンに対する周防監督のリスペクト
ちょっと上げただけでもこんなにあるのだ。
でも、僕はやっぱりチャップリンのことを書こうと思った。
それはこの作品のすべてのひとがチャップリンへのリスペクト
があって、そこから生まれたものだと思うからだ。
それはパンのダンスから始まった・・・
チャップリンの「パンのダンス」。クロワッサンにフォークを刺して、
左右の手を動かして、クラッシックダンスを踊るように見せる・・・
有名な場面だ。
ローラン・プテイは引退したチャップリンと出あったとき、食事の
とき何度も見せてくれた。あ~あ、やっぱり天才だと思った。
僕も思う。
単に機械の様に正確だというのではない。リズムに乗っているだけ
ではない。なにか、タメとか、マととかいった人間が持っている
ファジーな動きまで表現されている。
「街の灯」にはいつもやられる・・・
映画の終盤に出てくる「街の灯」の音楽・・・。
それだけで涙腺が緩んでしまう、条件反射のように。
こんなシーンがほかにあるだろうか。そう思ってしまった。
盲目の売り娘と錆びれた紳士の出逢いの場面
こんなに叙情性と哀愁と純粋な愛を表わした場面はない。
それは長続きしないものではないにしても、一瞬の輝きは
唯一無比な場面だと思うのだ。
天才という言葉には安易に使いたくはないが、
やっぱりチャップリンは天才というしかないと思ってしまった。
というわけで、映画も、あまり見る気もしなかったのだが、
ひさしぶりの感動を呼び起こしてくれたのでした。