「最高のジブリ作品」コクリコ坂から R41さんの映画レビュー(感想・評価)
最高のジブリ作品
ジブリ作品で最も好きな作品
あの時代、思春期の主人公のささやかな心の動きは、彼女にとってはっきりし過ぎるほどの恋心。
それはあえて口にこそ出さなかったものの、あまりにもはっきりしていたので隠すことなどしないし、恥ずかしいことでもない自然なことだったのだろう。
ギターを弾き始めたころにこの作品の主題歌を覚えた。
あの、僅か短い間だけ感じた切ない気持ちを表現するかのようなメロディに胸が熱くなる。
ちょっとしたことで消えてしまうかもしれない。
そんな気配をあの曲から感じ取ることができるのは、そこに強い共感を感じるからだろう。
芽生えた喜びと同時に、その背後に忍び寄るようにある壊れの怖さ。
思春期の恋ほどそれがあからさまなことはない。
特に当時は確かなことなど何もなかった時代で、みんなが守りたがっているカルチェラタンの存続さえ不確かだ。
目に見えるように動く経済発展と兄弟たちの成長、そして去っていく先輩。
古いものはどんどん解体されて新しいものが建っていく。
そんなにはっきりと自覚しているわけではないが、自分自身も確実に変化していると、主人公は思っていたのかもしれない。
今のこの思い。
揺らぎようないほどはっきりした思い。
それを誰かが壊そうとしても、決してできないと。
今あるたった一つの確かなこと。
この青春時代の淡さに、私はどうしても泣いてしまう。
実際にそんな経験などないはずだが、そこになぜこんなにも強い共感が生まれてしまうのかわからない。
私にとって恐ろしいほど青春を感じる作品。
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