「久々にいいジブリ作品だった」コクリコ坂から Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
久々にいいジブリ作品だった
総合:80点
ストーリー: 75
キャスト: 80
演出: 80
ビジュアル: 85
音楽: 85
大きな主題をもって何かを精一杯するような作品が多いジブリだが、今回はまだまだ若い登場人物に焦点を当ててその心の動きを追いかけ続けてくれた。少女の揺れ動く心が瑞々しくて、高校生らしい日常と彼らに起こる出来事が爽やかだった。彼女が見る横浜の丘の上からの海のような爽快感と、しっとりとしたささやかな幸福感があった。
この時代のことはよく知らないが、情景豊かな昭和の街並みを切り取ったような風景と、それを美しく彩り豊かに描いた絵が美しかった。挿入される曲も歌も作品に良くあっていたと思う。近年のジブリ作品はだんだんと質が低下していると個人的に感じていたのだが、本作は久々に良い出来でした。
美しい風景ばかりで汚いものが出てこないし、登場人物も見事にみんないい人ばかり。このあたりは古き良き日が美化されすぎていて単純すぎるとは感じるのだけれども、少女の感情を表現していくにはこれもいいのではないだろうか。彼女は衝撃的なことや辛いことも受け止めようとしていたから、このうえさらに悪人が出てきてかき乱さなくてもいいかな。
主人公の長澤まさみと岡田准一の声は今一つだった。二人とも当時すでに20代半ばと30代で、高校生というよりも大人の声だったし、技術的にもそんなにたいしたことがない。話題性ではなくもっと実力と設定に合わせて声優を選んでほしかった。
コメントする