「これぞ作画アニメ」コクリコ坂から ipxqiさんの映画レビュー(感想・評価)
これぞ作画アニメ
タイミング合わなくて今になって観たけど、とにかく絵がいい。嫌味がなくて上品でさわやか。うっとり。これよ。これが私のみたいジブリなのよ。しかし肝心の内容は…
昭和のメロドラマみたいな路線を狙ったのかもしれない。確かにそれは宮崎吾朗監督の資質にも合ってると思う。
でも、当時の日本映画って、とはいえちゃんとしたドラマの骨格があるんじゃない?
私もそんなに本数観てるわけじゃないけど、少なくとも観終わって「この作品なにが言いたかったのかな」とはならないけどなー
いろいろと描かれてるはずなのに、いちいち舌足らず。トントン進むばかりでまるで心動かされない。そもそも最初の15分がダメだったし…カルチェラタンが出てからはちょっとワクワクしたけど、それもほんのわずかの間だった。
たとえば全校集会で突然みんなが歌い出すシーン、初めて参加する主人公は最初とまどって、それから時間差で納得する、みたいな段階あってもよくない?感情どうなってんの?
全編通してこの調子。登場人物たちがあまりに感情を失調してるので、ちょっとホラーを感じるくらい。
劇場で観なくてよかった。たぶん激おこで帰る羽目になってた。ダータなら腹も立たない。絵はいいし。
謎の下宿屋経営と父への思い、学校と「カルチェラタン」、淡い初恋と出生の秘密、などなどもしかして要素を盛り過ぎなのかな?
でも「海が聞こえる」はあの短さでもばっちりだったのになー。同じ脚本家なのに、なんでこう…
なにしろ引きってものがない。ずっと平熱。ケレンとかハッタリとかスリルとかサスペンスとか、そーいうのが一切なくて、終始凪。これをみる限り、きっと吾郎氏、お父さんと違っていい人なんだろうなぁ。
でも申し訳ないけど監督には向いてない気がする。
世界的名作、かつボリュームのある原作を現場経験もない人にいきなり2時間にまとめて!の前作はさすがに無茶すぎて同情した。でも今回は、もうちょっとどうにかなりません?と言いたくもなる。
絵はいいんですよ。なにしろサービス精神はないしつまんないけど…
音楽の使い方も合ってるのか外してるのか、もはやそれすらもわからない。
同じ手間をかけるなら、いっそ高野文子とかやってほしかった。